学校種間の接続課題に対する制度的工夫の力点―オランダの事例に着目して

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K04632
• Research Institution: Niigata University of Health and Welfare
• Principal Investigator: 吉田 重和 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30549233)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 比較・国際教育学 / 教育制度論 / オランダ教育研究 / 教員養成 / 学校種 / 学校体系 / 学校アドバイス / 教師教育

Outline of Annual Research Achievements

学校種間の接続に関する課題や、それに連なる数々の教育課題について、我々が取り得る制度的工夫にはどのようなものがあるだろうか。本研究は、オランダの公教育制度における「学校アドバイス」の有効性に着目し、その生成過程と活用方法を段階的に明らかにしていくことで、児童生徒の能力や適性を多面的に把握し、円滑な接続を実現するための制度的工夫の力点を明らかにすることを目的とした比較教育学的研究である。
本研究の構成は、大きく三段階に分類される。すなわち「Ⅰ 学校種間の接続に関する現状と課題の把握」「Ⅱ オランダの小中接続に関連する制度的工夫の把握」「Ⅲ 小中接続に資する制度的工夫の在り方の提示」である。
今年度は、主に「Ⅱ オランダの小中接続に関連する制度的工夫の把握」に関して、オランダにおける教員養成及び教員研修制度の把握・検討に取り組んだ。教師は公教育制度を構成する重要な要素であり、またオランダにおいて「学校アドバイス」を提供する主体であることから、本研究課題の遂行上特に重要な要素であると考え、検討を加えた。研究の具体は、Web 調査や文献研究を通じて先行研究や実践報告を網羅的に収集し、その内容を整理した上で批判的検討を加えたものである。
今年度の研究成果として、オランダの教員養成及び教員研修制度の現況（たとえば、資格を有した教師が不足している問題など）が明らかになった。またオランダの教職に係る課題として、国際調査の結果から、教師の専門性に関わる諸側面に改善の余地があること、個々の児童生徒に対応した教育の展開に遅れがみられること、学校の教育環境に問題があると認識している教師が多いこと、などが示された。今後は、このような教員養成・研修の具体や教師の現状が「学校アドバイス」の生成過程にどのような影響を与えているかについて、現地調査の結果を踏まえ明らかにすることを目指したい。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成29年度は、本研究課題以外の業務（所属大学における教職課程再課程認定申請対応業務など）にかかる時間が想定以上であったことから、本研究課題に対し当初想定していたエフォートを振り分けることが難しく、結果として研究の進捗状況にやや遅れが出ている。研究の第二段階がすべて完了していないことから、今後は申請者が担当している各種業務の見直しと適正化を行い、本研究課題をより一層推進していく。

Strategy for Future Research Activity

第二段階を早期に完了し、第三段階へと研究を進める。第三段階においては、オランダにおける現地調査及び調査結果の公表が予定されている。現地調査の実施に当たっては、これまでの研究成果を踏まえつつ、十分に事前準備を行った上で着実に実行する。

Causes of Carryover

（理由）研究段階の進捗にやや遅れが見られたことから、予定していた現地パイロット調査をWeb調査に変更したため。また同様の理由により、英語・蘭語文献の収集を一部見送ったため。
（使用計画）パイロット調査を実施しなかった分、必要な機材を整え万全の準備をした上で、現地調査の実施期間延長を検討する。また英語・蘭語文献の資料については、研究活動の進捗状況を踏まえつつ、近接領域・分野にまで広げて収集する。