2016 Fiscal Year Research-status Report
家庭環境と地域社会の特性からみた移民の学業達成と地位達成:居住地間・国籍間の比較
Project/Area Number |
16K04639
|
Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
鍛治 致 大阪成蹊大学, マネジメント学部, 准教授 (50465655)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 国勢調査 / 調査票情報 / 進学率 / エスニシティ / 教育 / 中国 / フィールドワーク / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年8月から9月にかけてフィールド調査およびインタビュー調査をするために中華人民共和国黒竜江省哈爾浜市方正県に約30日間滞在した。毎年夏になると日本に滞在している方正県人が数千人規模で里帰りするが、今回の調査ではそれらの人々を訪ねて街中のマンションを訪れるのみならず、それらの人々がかつて住んでいた村々を見て回ることもできた。また、農民や運転手から実業家や高官まで、幅広い階層の人々と交流したり、幼稚園児から高校生まで幅広い学校段階の保護者に聞き取りを実施することにより、現在の中国社会に対する理解を深めることもできた。さらに、5年前に訪れたときには入手できなかった方正県の統計年鑑や国勢調査の資料を入手することができ、非常に有意義な調査旅行だった。 2012年国勢調査の調査票情報を得るために2016年5月に資料を作成して申請したところ6月にデータを受け取ることができた。6月に科研費で購入したPCの不具合を1月に修理し、2月に分析を開始。gawkでスクリプトを書いては実行するという試行錯誤を繰り返しながら、外国籍の親と同居する高校学齢児を(親子セットで)抽出する作業に取り組む。しかしながら、同一世帯に「世帯主の子」が複数人いるため、「世帯主の孫(高校学齢児)」の親が一体どの人なのかが特定できないという問題が発生。そこで、この問題を解決すべく、各世帯構成員の配偶関係に関する情報も合わせて提供してもらえるよう、申請に必要な書類を作成し直しているうちに2016年度が終わった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5年ぶりに中国黒竜江省方正県を訪れて1カ月間滞在し、急速に変化しつつある現地社会と、そこを里帰り訪問する移民たちの姿をつぶさに観察することができたため。 また、国勢調査の調査表情報を申請・入手し、来年度に向けて大きな足掛かりを得ることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
調査票情報を入手して、外国籍の親と同居している高校学齢児の高校在学を規定している要因について分析し、論考にまとめていく。 また、まだ一度も足を踏み入れたことのないフィリピンまたはブラジルを訪れ、現地社会での生活を体験することを通じ、日本で生活しているフィリピン人児童やブラジル人児童のエスニック・バックグラウンドについて理解を深める。 さらに、国勢調査調査表情報の分析を踏まえた上で、千葉県にある中国人集住地区や大阪府のベトナム人集住地区を訪れ、大阪府の中国人集住地区との比較を行っていく。
|