2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of Family Backgrounds and Social Environments on the Academic Achievement of the Immigrant: Comparison of Nationalities and Regions They Settled
Project/Area Number |
16K04639
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Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
鍛治 致 大阪成蹊大学, マネジメント学部, 准教授 (50465655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国勢調査 / 調査票情報 / 進学率 / エスニシティ / 教育 / フィールドワーク / 移民 / 第二世代 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は1980~2015年(8回分)の国勢調査の調査票情報を利用して、外国籍の親と暮らす高校年齢層の高校在学率と家庭背景等の年次推移について集計し、次の3点に代表される知見を導き出すための基礎資料を「旧中国帰国者定着促進センター」のホームページ「『論文』コーナー」にてオープンアクセスで発表できた(https://www.kikokusha-center.or.jp/resource/ronbun/kakuron/46/46.pdf)。 (1)2000年から2010年にかけ、どの外国籍においても高校在学率をめぐる日本人との格差は縮小した。とりわけブラジル籍において著しく改善したが、これは日本滞在年数の長期化のみで説明できない。なぜなら、来日5年未満だけを抽出しても、高校在学率は1990年と2000年の30%台から2010年の63.7%に改善しているからである。 (2)ただし、家庭背景についてみると、フィリピン籍高校年齢層の親の職業(ホワイトカラー就業率)と教育(教育年数)において、1990年以降ほぼ一貫して日本人との格差が拡大しつづけており、今後も注視していく必要がある。 (3)なお、従来集住傾向が弱いといわれてきたフィリピン籍高校年齢層も、両親がフィリピン籍の者だけをみれば、2015年現在、同一町字内の同胞人口(自身を含む)の中央値は38人に達し、韓国朝鮮籍(41人)やブラジル籍(43人)に近づいた。その意味ではエスニック・コミュニティからの支援や出身国の言語文化的な規範を活用した第二世代の教育がようやく可能になってきたといえるだろう。 一方、当初予定していた、国勢調査の調査票情報を利用しての中国帰国者集住地域間や外国人集住地域間の比較および経年変化の分析だが、今回は私事都合のため集計に十分な時間が割けず、実施することができなかった。
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Remarks |
1980~2015年(8回分)の国勢調査の調査票情報を利用して、外国籍の親と暮らす高校年齢層の高校在学率と家庭背景等の年次推移について集計し、ニューカマー教育に携わる研究者、教育者、政策立案者に幅広く利用してもらえるよう、2020年5月7日「旧中国帰国者定着促進センター」のホームページ「『論文』コーナー」にてオープンアクセスで発表したもの。
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