2018 Fiscal Year Research-status Report
大学生の主観的学修成果および学修時間と、客観的学修成果の相関に関する国際比較研究
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16K04646
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education |
Principal Investigator |
森 利枝 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (00271578)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学生調査 / 直接指標 / 間接指標 / 国際比較 / 日本の大学生 / 韓国の大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、大学生の時間の使い方・大学での経験、満足度、自信等、学修に関する間接的な指標と、語学力および論理的思考力を測るクイズからなる直接的な指標を開発し、それらによって測られる学修成果の日韓での国際比較を行った。 3年間に亘る比較研究プロジェクトをとおし、500余名の日本の大学生(5機関)と、200余名の韓国の大学生(3機関)に対する同条件での学生調査(日本語および韓国語での調査票を用いた調査)の結果、間接指標で測りうる大学生の学修経験に関しては、日韓の学生において大きな差はないことが明らかになった。いっぽう、直接的な指標で測りうる語学力および論理的思考力に関しては日韓の学生の成績に差が見られ、平均して韓国の大学の学生の成績が日本の大学の学生の成績を上回ることが明らかになった。また、日韓双方の大学の学生に関し、学修時間とクイズの成績には相関が見られないいっぽう、学生の、各領域における能力に関する自己評価とクイズの成績には相関が見られることが明らかになった。これらから、学修成果の間接指標として、学生本人の認識を調査することの有効性が示唆されると共に、我が国における近年の高等教育政策のアジェンダのうちいわゆる単位制度の実質化に関して、学修時間(あるいは授業回数)を過度に重視することの、学修成果に及ぼす効果の限界に関しても示唆が得られた。 研究代表者らは、この成果を基に、今後調査対象を台湾に広げ、台湾、韓国および日本の大学生の学力とその規定要因の比較について調査研究し知見を深めることを企図している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においては、研究期間中に行うべきすべての調査と分析を終え、その成果を発表する準備を整えた。研究発表の方法として具体的には、3件の国際学会に発表申し込みを行い、審査を経て2件の国際会議(米国およびドイツで開催)での発表を認められた。この発表に関しては、国際学会の発表申し込みおよび発表のスケジュールの関係から、補助事業機関の延長の措置を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の成果は、まず以下に示す2件の高等教育に関係する国際学会における口頭発表を以て学界に公表し、大学生の学修成果に関する日本と韓国の国際比較研究を通したファインディングスの共有を図る予定である。 ・European Conference on Educational Research - ECER 2019, Hamburg, Germany ・2019 AIR Forum, Denver Colorado, USA また、これらの国際学会における発表およびそれに対するフィードバックを基に論文を執筆し、国際学会誌に成果として発表することを企図している。 さらに、研究代表者らは、本研究課題の成果を踏まえ、台湾の高等教育研究者の参画を得て、日本、韓国、台湾の大学の学生の学修成果の規定要因に関する3か国評価を行うことを予定し、そのための研究組織の編成および研究費の獲得を完了している。
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Causes of Carryover |
本研究計画の成果を国際学会で発表するにあたり、レビューおよび学会開催のスケジュールから、学会参加のための海外渡航が2019年度に食い込んだため次年度使用額が生じたものである。 これは、2019年7月と9月に米国とドイツで開催される学会参加のために使用することを計画している。
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