2017 Fiscal Year Research-status Report
日本史と世界史の融合に向けての、地域素材を活用した新しい歴史教育内容開発
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16K04650
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
篠塚 明彦 弘前大学, 教育学部, 教授 (50710852)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 世界史教育 / 日本史・世界史融合 / 地域素材 / 歴史総合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高等学校の歴史科目(日本史・世界史)が高校生にとって学ぶ意義を見出しにくい状況にある点に課題を定め、地域の視点から日本史と世界史の融合をはかりその克服の方途を理論的・実践的に探るものである。2年目となる平成29年度は次のことに取り組んだ。 第一に、理論構築の基礎的作業として前年度に引き続き実践事例の発掘・収集を進めた。実践事例収集の対象としたのは次のものである。①地域素材に着目した実践事例、②歴史教育内容(特に世界史)の改革に着目した実践事例、③歴史教育改革に実験的実践研究を行っている研究校の事例。資料の収集については全国規模の研究会・学会のほかに、現場教員を中心に組織されている小規模な研究会や報告会も視野に入れて取り組んだ。さらに、発掘・収集した実践事例の分析作業を進めた。分析に際しては、A)課題意識、B)生徒の進路、C)時代、D)地域という四つの視点に基づいて、個々の実践事例の分類を行い、一般化可能な部分を抽出し、これらをもとに基礎理論の構築を進めた。基礎理論構築の過程において、戦後、他の社会科科目に遅れて高等学校に設置された世界史そのものの持つ構造的な課題とその原因が明らかとなった。 第二に、これまでに構築した基礎理論をもとに、さらには研究の過程で明らかとなった世界史の持つ課題の克服をも視野に入れ、実践化の作業に着手し進めた。その際に、新たに告示された学習指導要領の「歴史総合」の内容について分析・検討しつつ進めた。「歴史総合」の分析・検討にあたっては、これまでに世界史が内包していた課題の克服との関連性に着目しつつ進めた。 ここまでに明らかにされた成果の一部は、日本社会科教育学会の全国研究大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次期学習指導要領に向けて、新科目「歴史総合」に関する議論が活発化していることを受けて、歴史学の立場からの歴史教育改革への提起や、学校現場での日本史を視野に入れた世界史の取り組み、世界史を視野に入れた日本史の取り組みなどが進められている。そのこともあって、実践面での資料収集を順調に進めることができた。また、基礎理論構築の過程において、戦後、新たに高等学校に設置された世界史そのものの持つ構造的な課題とその原因が明らかとすることができ、一部予定していた実践化のための聞き取り作業が遅れてはいるものの、全体としては概ね順調に研究計画を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで概ね順調に研究を進展することができているので、基本的には当初の研究計画に沿って研究を進めるものとする。 最終年度となる平成30年度には以下のことに取り組んで行く予定である。まず、引き続き実践化とその有効性の検証を進める。具体的には青森県及び東北地方の地域素材を活用した日本史・世界史融合の歴史教育内容の開発を行う。前年度までに構築した理論的枠組みをもとに、青森県及び東北地方の地域素材を活用した日本史・世界史融合の歴史教育内容の開発を行う。青森県内及び北東北地域を中心に、活用可能な地域素材を調査・収集し、具体的な授業づくりを行っていく。開発した授業は高等学校の現場で実施し、検証作業を行い、有効性を高め、現場での取り組みが可能なように一般化を進める。また、平成30年度は最終年度であることから3年間の研究成果を報告書としてまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた聞き取り調査で、先方の都合により昨年度中に実施することが困難となったものがあった。前年度に実施することが困難となった当該の聞き取り調査に関して、平成30年度の早い時期に実施する予定である。
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