2018 Fiscal Year Research-status Report
中学生の自己肯定感向上に繋がる音痴克服のための歌唱指導法に関する実証的研究
Project/Area Number |
16K04653
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
小畑 千尋 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20364698)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 音痴克服 / 中学生 / 自己肯定感 / 歌唱指導 / 内的フィードバック / 変声 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歌唱における生徒自身の内的フィードバック能力向上と生徒の心理面に着目して、中学生の自己肯定感向上に繋がる音痴克服のための歌唱指導法に関する実証的研究を行うことである。 研究3年目の今年度はまず、研究協力校であるB中学校において、音痴意識を持ち、且つ音高・音程を正しく歌うことのできず、歌唱指導を希望する生徒11名を対象に、継続的な歌唱の個別指導、並びにグループ指導を試みることができた。その結果、参加した生徒たちの内的フィードバック能力とピッチマッチ能力を中心とした歌唱技能の向上、さらに歌うことに対する自信、意欲など心理面における変化もみられた。現在、事前・事後調査、個別のインタビュー調査、音楽科教諭へのインタビュー調査の結果も含めて、詳細な分析を行っている。 また、研究初年度にA中学校全校生徒(約300名)を対象に実施した質問紙調査では、約5割の生徒が「非常に」もしくは「少々」音痴だと自分自身を思っていた。この結果について特に男女差を中心に分析した結果、女子は45.7%、男子は52.7%が「非常に」もしくは「少々」音痴だと思っており、男女の群に有意差がみられた。研究代表者が過去に大学生を対象に行った調査では、男女の結果における差はみられておらず、中学生における特徴として興味深い結果である。また男子について、「まだ変声に入っていない」と「現在変声中」を比較すると、音痴意識を持つ割合は「まだ変声に入っていない」生徒たちの方が高かった。これらの研究成果については国際学会(The 33th ISME World Conference)で海外研究者と共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力校B中学校の協力を得て、音痴意識を持つ生徒を対象とした事例研究を予定どおり実施することがでた。また、音痴意識に関する質問紙調査の研究成果について、国内外で発表すると共に、他の協力校(9校)で実施した質問紙調査の分析にも反映することができたことから、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、研究協力校9校で実施した質問紙調査、また研究協力校A中学校で実施した「音痴」意識と内的フィードバックとピッチマッチとの関連を中心に、国内外の学会で成果の発信を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度に研究協力校9校で実施した調査のデータ分析を行う予定であったが、B中学校での分析過程で新たな知見がみられことから、その結果を反映させるために詳細な分析については次年度行うことになり、次年度使用額が生じた。 次年度は、データの整理補助としての学生謝金、データ分析の際の専門的知識の提供に対する謝金、また、投稿論文の英文校正費に充当する。
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