2016 Fiscal Year Research-status Report
小学生の国語誤用の収集・分析と指導法開発に関する研究
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16K04654
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
成田 雅樹 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50361217)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小学生 / 国語 / 作文 / 誤用 / 原因 / 指導法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の計画であった、国語誤用の収集を行った。その際、収集・研究の対象とする国語誤用の範囲も決定した。さらに、学年ごとに出現する国語誤用を明らかにし、その原因推定や予防・対処策の考察も行った。小学校1~6学年の記述資料(作文など)から収集した国語誤用は158事例であった。これらを学年別、誤用が出現している言語単位(音・文字・語・文節・文・連文・段落など)別、誤用の種類(重複・欠落・付加・錯誤・不使用不照応・濫用など)別、誤用の推定原因(聞き違い・取り違え・語彙不足・理解不足・不注意・意識不足・意識希薄・意過剰・無自覚・混乱・変化忘却など)別に整理した。その結果分かったことを秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要第39号掲載の論文としてまとめた。 分かったことはおおよそ以下のようなことであった。言語単位別では、「音・文字」に現れる国語誤用が最多であった。中でも長音に関するものが多かった。またこれら最多の国語誤用の種類は、ほとんどが欠落や錯誤、不使用、不足であった。しかもこの錯誤、不使用、不足は国語誤用の種類で最多であった。誤用の原因別に見ると、意識希薄が最多であり、音・文字・語の言語単位で口語表現になっていることによる誤用が過半数を占めた。この音・文字・語における意識希薄によると思われる国語誤用の種類はすべて錯誤、不使用、不足であった。学年別に見るとすべての学年で、聞き違いや不注意による音・文字の誤用が多かった。 初年度の計画の他の内容である、附属小学校教員への協力依頼や意見聴取は、国語部教員を対象に行った。関係資料の提供はなかったが、学部卒業研究指導において、小学校3年生の国語誤用の収集と改善指導に取り組んだ学生の研究・実践資料を平成29年度の研究に活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の手持ちの小学生の記述資料(作文)から全学年にわたって国語誤用が収集でき、学年、言語単位、誤りの種類、誤りの原因の4つの観点を立て、さらにそれぞれを下位分類してエクセルで整理することができたことによって、平成28年度に計画していた研究を遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29~30年度の計画は、誤用の収集を続ける傍ら、原因推定に基づいた指導法(予防、対処、両面で)の開発を行うことである。その具体的な方法は、主に附属小学校国語部の教員による指導法検証授業になるが、全学年にわたって実施することが困難であったり、検証授業の実施そのものがカリキュラムの都合上無理であったりすることが考えられる。その場合は、全学年に共通して有効な指導法を整理し、最低1つの検証授業の結果から他の学年(6区分ではなく、低・中・高の3区分)への適用策を考えたい。平成28年度の卒業研究で学部4年生が実施した第3学年における国語誤用に関する指導では、授業の手立ての面では学年差は必要なく、誤用の原因や出現する言語単位に応じた指導の工夫がそのつど求められるのではないかという結果が得られた。次年度以降はこの研究・実践の資料を活用して、上記のような研究協力の不足を補うことにする。
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Causes of Carryover |
平成28年10月15日~16日に、白百合女子大学(調布市)で開催された第131回全国大学国語教育学会に参加を予定していたが、親類の葬儀のため欠席した。この分の交通費、宿泊費が未使用となったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年間2度ある全国大学国語教育学会への参加のほかに、首都圏で開催される研究会や、国語誤用に関する実践授業をしてくださる教師(東京都江戸川区立下鎌田西小学校・前田指導教諭)の授業の参観などの旅費として支出する予定である。
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