2016 Fiscal Year Research-status Report
大学教養英語教育におけるReciprocal Teachingの授業開発
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16K04657
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野村 幸代 茨城大学, 大学教育センター, 准教授 (90635195)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Reciprocal Teaching / アクティブ・ラーニング / 英文読解 / 大学教養英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、互恵的教授(Reciprocal Teaching、以下RT)の効果を、英語教育学の視点とアクティブ・ラーニングの視点から検証し、日本の大学教養英語教育に適したRTを開発することである。平成28年度は、大学教養英語におけるRTの効果検証を行い、調査テーマとして「足場かけとしてのRTの効果検証―学習者のテキスト理解に及ぼす影響」を設定し、計画通り、4回の調査を実施した。第1回調査では、「a. 個人で自由に読む」、「b. RTの4つのストラテジー(質問、明確化、要約、予測)を促進するヒントをプリントにより与えて個人で読む」、「c. 教師が4つのストラテジーを用いて学習者に指導しながら読む」という3つの指導法による学習者のテキスト理解を比較した。第1回は、テキストの英文自体が難しかったため、aとb、cの理解度には違いがみられたが、bとcの理解度には違いがみられなかった。しかしながら、RTの4つのストラテジーは、学習者のテキスト理解を高めることは検証された。第2回調査では、テキストレベルを調整し、「質問」と「要約」を行ったグループと、個人で読んだグループとのテキスト理解を、t検定を用いて分析した。その結果、特に、語彙の理解度において有意差が認められた。一方、2つのグループを同じように指導した読解テストにおいては、両者のレベルに差がないことが認められたため、RTは語彙理解に有効な指導であることが示された。第3回調査では、質問紙調査を実施し、RTが、テキスト理解に役立ち、授業において学習意欲を高める効果があることが示された。第4回調査では、RTによるグループワークの音声記録を質的に分析した。その結果、学習者同士の発話が、テキスト理解のための足場かけとなっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はデータ収集が主な活動であった。当初の計画では、「a. 個人で自由に読む」、「b. RTの4つのストラテジー(質問、明確化、要約、予測)を促進するヒントをプリントにより与えて個人で読む」、「c. 教師が4つのストラテジーを用いて学習者に指導しながら読む」という3つの指導法を、3クラスすべてに行い、その効果を検証する予定であった。しかし、第1回の調査により、aとb、cでは、明らかに理解度に差があることと、3クラスに同じ指導を行った後の理解度テストの比較を行い、その結果に差がないことが認められた。その結果、bとcはaより効果的な読み方であることが確認できたため、第2回調査以降はaという調査対照群を設定する必要がなくなった。そのため、第2回以降の調査では、RTがテキスト理解と学習態度にどのように影響を及ぼすかという点に焦点を当てることができるようになった。 しかしながら、第1回の調査で、bとcの差が出なかったため、調査結果を学会で発表することができなかった。一方で、研究計画を上記の通りに変更した結果、平成29年度の研究テーマである「アクティブ・ラーニングとしてのRTの効果検証」のデータ収集を同時に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度のデータ収集が順調に行われたため、平成29年度は、そのデータを分析し、日本教授学習心理学会(平成29年7月1日、2日、仙台大学)において、RTの足場かけとしての効果を発表する。また、ASIA TEFL(平成29年7月13日から15日、ジョグジャカルタ)において、この研究の基盤理論を発表する。また、平成29年の後半は、当初の計画通り、これまでの分析結果に基づいてRTによる授業を開発し、その効果を検証する。具体的には、開発した授業計画に基づいた授業を実施し、筆記再生法と多肢選択テストと質問紙調査を実施し、逐語記録の定性的分析を行い、授業改善を行う。さらに、学会発表で得られたアドバイスに基づいて論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
、「a. 個人で自由に読む」、「b. RTの4つのストラテジー(質問、明確化、要約、予測)を促進するヒントをプリントにより与えて個人で読む」、「c. 教師が4つのストラテジーを用いて学習者に指導しながら読む」という3つの指導法を、3クラスすべてに行い、その効果を検証する予定であった。しかし、第1回の調査により、aとb、cでは、明らかに理解度に差があることと、3クラスに同じ指導を行った後の理解度テストの比較を行い、その結果に差がないことが認められた。その結果、bとcはaより効果的な読み方であることが確認できたため、第2回調査以降はaという調査対照群を設定する必要がなくなった。a、b、cの効果の違いを学会で発表する予定であったが、調査結果を学会で発表することができなかった。 デスクトップ型パソコンを購入する予定であったが、まだ使用可能であるため様子を見ながら使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、教授学習心理学会及びASIA TEFLにてこれまでの研究成果を発表する。 またPCは、様子を見て購入する予定である。人件費は、逐語記録の文字お越しのため、アルバイトを雇用する。
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Research Products
(1 results)