2017 Fiscal Year Research-status Report
高校家庭科における社会参画教育に関する教師教育プログラムの構築
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16K04658
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
石島 恵美子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (10736325)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会参画 / 家庭科 / 高校 / 教師教育 / シティズンシップ / 調理実習 / 消費者市民 / 郷土料理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、高校家庭科の2つ単元についてカリキュラム研究を行った。 1つ目は、消費生活領域と食生活領域の横断的カリキュラムである。消費活動をとおして、社会参画し、持続可能な社会形成の担い手を育む消費者市民教育に注目している。 一般的に消費活動には、市場での商品やサービスの消費と空気やエネルギーなどの生態系の資源の消費に分けられる。特に後者は、環境問題と関わりが深く責任ある消費が昨今強く求められている。平成29年度は、環境問題の中で様々な問題を孕んでいる食品ロスの家庭での廃棄に注目し、文献調査を行った。その結果、「環境配慮行動2段階モデル」(広瀬1994)を食品ロス削減行動に援用する可能性を見出した。環境配慮意識があるにもかかわらず、行動に移せないのは、環境配慮意識と環境配慮行動の規定因が異なっているからであり、それぞれの規定因を満たす必要がある。そこで、食品ロスにおいて、それぞれの規定因を明らかにするために、調査・分析中である。明らかになった規定因を改善する高校家庭科の教材を開発することを検討中である。 2つ目は、食生活の単元において、社会参画を試みる研究である。29年度の調査を元に、地域の郷土料理を用いて地域の課題解決をし、社会参画参画意識を育む教材開発を行った。地域で伝承が危ぶまれている郷土料理に着目し、その郷土料理を調査し、伝承するための教材を作成した。また、高校生が地域での伝承活動をとおして社会参画意識を形成する教材を検討している。その教材とは、家庭科や講演会で使用できる視聴覚教材である。 平成29年度は、その教材の検討のために2校で講演を行い、その教育効果について調査をし、論文にまとめた。学会誌に掲載予定である。また、郷土料理に関する調査の結果をまとめ、2冊の著書に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度で生じていた遅れについて、おおむね解消された。 社会参画教材の教育効果を示した論文が、平成29年度発表予定であったが、平成30年7月に掲載が決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、前年度から引き続き行っている食品ロス調査の分析を進め、「食品ロス削減意識と行動が異なるメカニズム」を明らかにするとともに、分析結果を論文としてまとめ学会誌に投稿する予定である。食品ロスに関わる社会参画活動(食品廃棄対象の缶詰などを必要としている人に再配分をして、貧困者支援を行う活動)について、周知・理解を深める教材を作成し、教員養成課程の学生を対象に授業を行い、その教育効果を検討する予定である。それをもとに、教員への高校生の社会参画を育む家庭科の授業の講演会を行い、教師教育の教育効果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度に実施予定であったアンケート調査の精査に時間を要しているので、それに必要な費用(調査用紙郵送代と集計のための人件費等)が、支出できていないために、次年度への使用額となった。
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Research Products
(7 results)