2017 Fiscal Year Research-status Report
小学校児童の好む英語の授業と嫌いな英語の授業の質的分析
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16K04659
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
猪井 新一 茨城大学, 教育学部, 教授 (80254887)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小学校外国語活動 / 好意度 / 身体的活動 / 反復練習 / なぞり |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校英語授業における望ましい活動というのはどのような特徴をもっているかについて、SLA研究および先行研究の観点から、実際の小学校の授業(児童の高好意度授業および低好意度授業)に見られる言語活動を分析した。Ortega(2007)は望ましい言語活動は次の3つの原理に沿っていると述べている。Principle 1: Interactive である。Principle 2: Meaningful(言語形式に注意を払う;思考力を伴う)である。Principle 3: A focus on task-essential forms(その言語活動をする上で、当該の表現が必須である。Munoz(2007)によると、具体的操作期(7~11,12歳)の児童は、具体的事物を用いた活動、積み木を使う活動、身体運動を伴う活動、表現のまとまりを扱う活動、反復練習、楽しい活動を好む傾向があり、一方、形式的・抽象的操作期(11,12歳~)にある児童は論理的・抽象的思を伴う活動、様々な学習スタイルを取り込むような活動、表現の分析・類推、知的興味関心を引き起こす活動、協力し合えるようなグループ活動、自尊心が損なわれないようなグループ活動などを好む傾向がある。 上記の特徴が、児童の高好意度授業には見られ、一方低好意度授業には見られないのかを、小学校外国語授業で検証した。高好意度授業では、Alphabetソングを歌う際に、小文字b,d,fのように縦棒がある際は片腕を真っ直ぐ上げ、g, j等はしゃがむなどの身体運動を伴う活動があった。また、文字のなぞりの活動(体験的活動)などがあった。さらに、スピーチ作成後、グループ内で発表し、その後グループ外でやり取りをするなど、インタラクティブな活動があった。一方、低好意度授業の特徴として、過度な反復練習が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度(平成28年度)、校務の諸事情で研究が進まなかった。本年度は、その反省のもと、先行研究の調査を中心に研究を進め、ある一定の成果は上げた。しかし、やはり、校務に追われ、学校訪問はわずか2校に留まり、授業分析するには量が十分とは言えない状況である。本研究の延長申請を視野に入れながら、着実に研究を進めてゆきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校の英語の授業の見学を相当数実施するために、関係者(本学への内地留学生、卒業生、学会関係者等)に問い合わせ、10校程度を目標に、授業見学及びデータ収集をし分析を進めたい。また、研究成果発表を海外の学会で行えるように準備を進めたい。
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Causes of Carryover |
10校程度の小学校を訪問し、授業を見学し、データを収集する予定であったが、本年度は大学周辺の小学校2校にとどまり、データ収集及び分析が十分に行えなかったこと。さらに、研究成果の発表は国内の学会一回に留まり、それも首都圏ので学会発表となり、旅費等が相当に残る結果となった。さらに、予定していた海外での学会での発表ができなかったことも、次年度使用額が生じた理由である。 使用計画:コンピュータの購入、書籍の購入、データ収集および海外での学会発表のため旅費、データ入力のための人件費等を計画している。
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