2018 Fiscal Year Research-status Report
イングリッシュ・バカロレア体制下における美術カリキュラム編成の集団的動向
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16K04660
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
直江 俊雄 筑波大学, 芸術系, 教授 (10272212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 美術 / カリキュラム / 英国 / イングリッシュ・バカロレア |
Outline of Annual Research Achievements |
英国において学校の実績を評価する指標として2010年から導入されたイングリッシュ・バカロレアは、中等教育修了一般資格試験における生徒の達成度を、英語、数学、歴史または地理、理科、言語、の5つの科目で評価するものであり、学校における美術学習の機会削減につながるのではないかとの懸念が美術教育者に広がっている。美術教育の価値が教科間の自由競争原理の中で試されようとしている英国の現状をとらえることは、美術教育が社会に対してどのようにその役割を主張し、その存立と拡充を図るかという本質的な課題に対して、比較教育の観点から考察の機会を与えるものである。本年度の研究では、イングリッシュ・バカロレア体制を軸に近年の英国教育制度改革の経緯を検討した上で、その制度改革による芸術教科への影響に関して英国で実施された3つの調査結果、すなわち英国美術デザイン教育学会による『2015-16年調査』(2016)、新学校ネットワークによる『2つの文化:学校はイングリッシュ・バカロレアと芸術のどちらかを選ばなければならないのか?』(2017)、教育政策研究所による『キー・ステージ4における芸術科目への参加』(2017)を比較するとともに、1994年から2017年にかけての学校現地調査の結果を踏まえて、5科目を重視したこの教育改革が美術教育に与える意味を考察した。今回の訪問校のような少数の成功例のみでなく,また英国美術・デザイン教育学会による調査のように教科の存続に危機感をもつ当事者の回答が多く含まれていることが想定されるデータよりも,一定程度の客観性が確保できる調査対象による検証が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イングランド中西部地域の中等学校に対して実施する予定の質問紙調査について、現地研究協力者との協議の結果、紙媒体の郵送から全面的にオンラインによる調査に切り替えることになった。それに伴い、質問構成の見直し、研究倫理上の承諾を調査参加者から得る仕組みの検討、依頼先情報(学校電子メールアドレス等)の収集等を、現地研究者と連携をとって進めるため、当初計画より調査実施時期が先になった。
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Strategy for Future Research Activity |
イングランド中西部約130校の中等学校に対し、質問紙調査によってキー・ステージ3(7から9学年)における美術カリキュラムの編成動向を明らかにする。1994年、2010年に同地域で実施した調査に加え、1991年、2012年、2015年に日本の学校で実施した調査結果との比較、2010年以降の英国における教育制度改革の影響と、英国美術デザイン教育学会による『2015-16年調査』(2016)等の結果を踏まえ、質問構成を完成させる。オンラインによる調査を実施し、集計と分析の原案をまとめた上で、英国における研究協力者との協議によって解釈を進める。英文による暫定報告書をまとめインターネット上で公開する。
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Causes of Carryover |
イングランド中西部地域の中等学校に対して実施する予定の質問紙調査について、現地研究協力者との協議の結果、紙媒体の郵送から全面的にオンラインによる調査に切り替えることになった。それに伴い、質問構成の見直し、研究倫理上の承諾を調査参加者から得る仕組みの検討、依頼先情報(学校電子メールアドレス等)の収集等を、現地研究者と連携をとって進めるため、当初計画より調査実施時期が先になる見通しである。補助期間を延長して研究を行う。
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Research Products
(6 results)