2017 Fiscal Year Research-status Report
教科道徳を視野に入れた小学校社会科中学年授業モデルの構築
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16K04662
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
溜池 善裕 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (60260452)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | しごと / 評価と学習指導の一体化 / 全体のための一人学習 / 道徳性の陶冶 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)文献研究:奈良女子大学附属小の教員である倉富崇人の1958年以降における,しごとにかかる学習指導の全体像を『學習研究』誌の論考をもとに整理し,これと,昨年度行った倉富についての1957年までの学習指導の整理をあわせて,その全体像を明らかにした。この研究の成果については,附属小での校内研修の際に報告し,附属小の教員全員から様々な質問や意見等をいただき,その問題点等についての示唆を得た。そこで明らかになったのは,しごと(合科的社会科)をけいこ(国語,算数等)・なかよし(学級活動等)との連関において実施することで,学習指導においてより道徳性の陶冶がはかられるという点であった。この示唆をもとに,しごとを視野に入れた国語学習の指導に長年尽力した,今井鑑三の論考等を収集し整理した。 (2)授業分析等:奈良女子大学附属小3年生の学習に関するデータを採録し,それをもとにしごと学習の様態に関する分析を行った。この分析によって,しごと(合科的な社会科)の学習指導において不可欠なのは,子ども個人の学習が全体の学習の中で位置づけられ,全体においてどのような役割を果たすことが出来るかという視点で見直されることで,一人の学習が全体のための一人学習となることであることが明らかになった。それを踏まえ,これまでの成果を学習指導と評価の一体化という視点で整理・考察した。 (3)授業モデルの検討:上記の整理・考察をもとに授業モデルを構築し,奈良女子大学附属小,同様の学習指導を行っている富山市立堀川小,熊本大学教育学部附属小の協力教員においてそれを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校1年生から3年生までの学習に関するデータを評価と学習指導の一体化の視点から整理・考察し,より確かな社会科授業モデルを得ることが出来た。また,それを裏付ける研究として,附属小で30年以上にわたってしごとを中心とした実践を積み重ねた倉富崇人の実践の全体像を明らかにする研究を行い,それを手がかりに授業モデルの検討をはかった。臨床的な研究とともに,文献研究によって,得られた授業モデルを確かなもとすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校4年の学習データの収集を行い,これまでのデータと合わせた分析を行う。加えて,これまで整理・分析してきた分析対象とはことなる対象データの収集をし,それについても整理・分析を試みる。なお,文献研究における今井鑑三についての論考は考察・分析することで,しごと(合科的な社会科)を国語等の教科との連携において実施することの意義を明らかにし,教科道徳を視野に入れた授業モデルをより確かなものとする。
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Causes of Carryover |
授業モデルの構築についての検討が,附属小の校内研修等によって可能となったため,予定していた人件費が不要となった。必要なデータ収集のためにさらに旅費が必要となったが,人件費を上回る使用とはならなかったた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用について,さらに計画的な使用を行っていくことにつとめたい。
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Research Products
(4 results)