2016 Fiscal Year Research-status Report
情報科学と情報技術の観点に基づくアルゴリズム学習の評価基準の提案と実践
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16K04663
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
川島 芳昭 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (70282374)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 評価基準 / アルゴリズム / プログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は,国内の小・中学校におけるプログラミング教育やアルゴリズム学習の実態や研究について調査した。プログラミング教育やアルゴリズム学習の実践では,ロボットやセンサー機器の教材を用い,ビスケットやScratchなどのビジュアルプログラミング言語などを活用した課題解決の授業が多かった。また,評価は意識調査が主であり,認知的な調査では課題解決の有無やビジュアルプログラミング言語を用いて課題解決の手順の作成の有無が基準となっている。しかし,この方法は,最終的に課題が解決できたことを判定することはできるが,児童・生徒の習得状況を把握するのは難しいと言える。一方,文科省委託事業平成26年度・情報教育指導力向上支援事業「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」の報告書では,25カ国のプログラミング教育の実態が報告されている。その中で,評価方法や基準が報告されているのは8カ国である。特にフランスの評価基準は,アルゴリズム技能を「評価する技能」,「基準・指標」,「習熟レベルと自主性の度合い」の3つの観点からそれぞれ5項目程度に細分化し,児童・生徒のアルゴリズム技能の到達度を測っている。しかし,それ以外の国では,自己評価や筆記試験,口頭試験による最終到達度のみが評価されている。 この実態を受け,アルゴリズム学習における児童・生徒の習得状況を把握する評価基準を検討し,実践するためのカリキュラムを検討した。方法は,題材を絵本作りとし,小学校低学年の児童に製作の手順(順次処理,分岐処理)を意識させた学習指導を行う。その過程において構想,設計をワークシート,製作を作成した絵本から現行の評価基準で評価する。 現在は,授業実践の試行が終了したところである。29年度は,授業実践の結果を評価基準に従って評価し,児童のアルゴリズムの習得状況を評価するとともに,評価基準の見直しの方向性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は,国内外のプログラミング教育やアルゴリズム学習の実践や研究から実態を調査し,評価基準の現状と課題を検討した。また,授業実践の試行を実施したことで,29年度の授業実践に向けたアルゴリズム学習に必要な題材やカリキュラムの検討するための基礎情報を得られた。今後は,現行の評価基準から試行結果を評価することで評価基準の見直しと新たな評価基準の作成に着手することができると考えている。これらのことから,研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は,試行した授業の結果を現行の評価基準に則して評価し,アルゴリズム学習による児童の習得状況を分析する。さらに,現行の評価基準の見直しを行い,新たな評価基準の作成に着手する。次に,試行によって得られた知見を基に,題材とカリキュラムを再検討し,小学校における授業実践を実施する。実施した結果は,新たな評価基準から評価することでその有効性を検証する。研究最終年度は,中学校でも同様に実践し,アルゴリズム学習の指標と評価基準の確立を目指す予定である。
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Research Products
(2 results)