2018 Fiscal Year Research-status Report
能動的学習による音楽科授業プログラムの日米豪共同開発:音楽づくりを軸として
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16K04673
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
時得 紀子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30242465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 能動的音楽学習 / アクティブ・ラーニング / 音楽づくり / 身体表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽科授業の創作表現活動に焦点をあてた授業プログラムの構築に向け、前年度の取り組みを継続し、調査研究の推進とともに国音楽教育学会等での成果発信に努めた。 国内外の公立小・中学校・大学(学部・大学院)教員養成課程の優れた授業事例の収集を行なった。取り分け、能動的学習(アクティブ・ラーニング)を取り入れた音楽科授業において、学習者の意欲、関心などを高めることに資する場面に焦点をあて、授業後のアンケート記述、授業中のパフォーマンス評価、授業映像記録を基に質的分析を加えた。 また、複数の教員養成大学の学生を対象として、学生の小・中学校の音楽授業時における、「音楽づくり」や「創作」の学習体験の有無や、授業での具体的な活動体験についての調査を実施した。調査結果から、多くの学生が十分な活動の体験を経ていない傾向にあることが明らかとなった。これを踏まえ、教員養成における「初等音楽科指導法」「中等音楽科指導法」などの授業において、学生が習得しておくことが求められる大学での授業づくりについて、研究協力者と共に分析を行った。 これらの一環として、教員養成課程の学生を対象に身体表現活動を取り入れたアクティブ・ラーニングの授業実践に取り組んだ。日本の小中学校教育現場における実践事例を加えて考察をまとめ、『身体表現を取り入れた音楽学習について』と題した英論文を執筆した。本論文は投稿を経て、第33回 国際音楽教育学会(バクー市、アジェルバイジャン)大会の口頭発表並びに学会誌全文掲載 (査読有) に採択された。この他、同国際学会のプレ大会である第27回 音楽教育リサーチセミナー部門大会(アラブ首長国連邦ドバイ市)に出席した。大会では音楽教育のリサーチを踏まえた各種セッションに参画し、日本の学校音楽教育並びに教員養成課程における音楽授業における能動的学習の諸成果について発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度、欧州ザルツブルグ、モーツァルテウム大学 附属オルフ研究所及び、ジュネーブ音楽学院 附属ダルクローズ音楽学校を参観訪問する機会を得た。これを契機として、本研究考察を進める過程において、欧州音楽教育メソード(オルフ、リトミック)の授業実践の情報を得ることが望ましいことが明らかとなった。その為、オルフ、ダルクローズの授業視察を新たな調査対象に加え、授業プログラムとその考察の研究を推進した。新たな計画加えたことから、全体の進捗度は緩やかになったが、新たな研究対象からより有意義な情報を得ることにつながった。 昨年度、指導担当している2名の博士学生とともに、「対話的・協働的な活動」を視点として、小学生及び教員養成課程学生を対象とした音楽授業における創作の実践の成果と課題に取り組んだ。N県内の小学校、及び金沢大学の学生、上越教育大学の学生を対象とした本研究の投稿論文は、大学紀要に掲載された。次年度も、このように国内外、両方において調査研究を継続していく。
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Strategy for Future Research Activity |
欧州音楽教育メソード(オルフ、リトミック)の授業実践の情報を得ることが望ましいことが明らかとなったことを受け、オルフ、ダルクローズの各研究機関の所在地である、ザルツブルグ、ジュネーブにおける音楽学習を新たな調査対象に加える。これに伴い、研究期間を1年間延長することを申請し、既に受理されている。 また、本研究成果に基づく投稿論文の採択を受け、次年度には複数の国際学会に於いての口頭発表を行う予定である。 本研究課題である、音楽科における能動的学習の研究考察を進める過程で、欧州音楽教育メソードをさらに熟知し、欧州で現在なお実践が受け継がれている音楽諸活動を分析することを推進方策に加える。これらを基盤とした、身体表現活動を取り入れたアクティブラーニングの授業づくりについて、「音楽づくり」を軸としながら、さらに国内外での調査研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
次年度、欧州音楽教育メソードの授業実践の現地調査を計画に加えることとなった。また、本研究成果に基づく投稿論文の採択を受け、複数の国際学会に於いての口頭発表が予定されている。これらに残りの助成金を充当する計画である。
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