2016 Fiscal Year Research-status Report
生徒の思考・判断・表現力を育てる英語授業における発問ストラテジーの開発
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16K04677
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 武夫 山梨大学, 総合研究部, 教授 (50324174)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発問 / 英語で行う英語授業 / 思考・判断・表現力 / アクティブラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教科書本文を扱った英語授業において、教師による異なるタイプの発問をいかに連携させれば生徒の英語による思考・判断・表現力を育成できるか考察し、教師発問の活用方略を提案することにある。平成28年度の研究目的は、生徒の思考・判断・表現を活性化するために、英語授業の導入・展開・まとめの3段階において、どのような事実発問、推論発問、評価発問が実際に可能であるか具体的な発問を明らかにすることにあった。そこで、今年度は以下の2点について研究を行うことにした。 (1)英語の4技能指導における教師の発問に関する文献資料の収集および資料の整理を行った。これまでの研究を整理する際の視点は、以下の通りであった。4技能育成のための指導において、教師による発問の効果の有無についてはどこまで明らかにされているのか。教師発問の特徴の違いにより、生徒のテキスト理解や生徒の英語使用への影響の有無に関し、どのようなことが明らかにされてきているのか、外国語教育以外の分野においても同様の事柄がどこまで明らかにされているのか、などに関する文献資料を整理した。 (2)具体的な事実発問・推論発問・評価発問に関する枠組みに関し整理を行った。授業展開の3つの段階(導入・展開・まとめ)において、生徒の思考・判断・表現を活性化する仮説的な事実発問・推論発問・評価発問を考案した。発問考案の視点は次の3つであった。1) 導入であるプレ活動において、どのような発問が生徒を授業に動機付けるか、2) 授業の中核となるイン活動において、指導の中で扱うメッセージ内容を生徒に正確かつ深く理解させる発問とはどのようなものが適切か、3) 授業のまとめとなるポスト活動において、どのような発問が生徒の豊かな表現を促すのか。これらの視点のもと、具体的な発問を提示し、その発問作成の原理原則について整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究は以下に示すように、ほぼ研究計画どおり進めることができ、その目的をほぼ達成した。 第1の研究予定として、英語の4技能指導における教師の発問に関する文献資料の収集および資料の整理を行う計画であった。そこで、4技能育成のための指導において、これまで、および現在の英語教育において使用されている検定教科書および海外の出版社から出版されている英語学習教科書を収集し、その教科書の中で発問がどのように使われているのかを分析することに着手することができた。教科書内の発問の現状を調べることをもとにしながら、生徒のテキスト理解や生徒の英語使用を促進するための手立てを考察することができた。 第2の研究予定として、第1の研究をもとにしながら、生徒の思考・判断・表現を活性化するための基本的な枠組みの整理を行うことであった。授業展開の3つの段階(導入・展開・まとめ)において、生徒の思考・判断・表現を活性化するうえで、事実発問・推論発問・評価発問の3つの枠組みが有効である可能性について以下の観点で考察した。1) テキスト内容を生徒に正確に理解させる発問と、生徒の意見や考えのアイデアを出させる発問には、いずれも事実発問が適切であること、2)テキスト内容を深く理解させる発問と生徒の意見や考えを深める発問には、推論発問が適切である可能性があること、3)テキスト内容をもとに生徒の表現を促す発問と生徒の意見や考えを豊かに表現させる発問には、評価発問が有効である可能性があることを、考察し、それらの発問作成の原理原則について整理することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究目的は、生徒の思考・判断・表現を活性化するために、前年度の研究で考案した異なるタイプの具体的な発問をもとにしながら、授業のプレ・イン・ポストの3段階において、どのように事実発問、推論発問、評価発問を連携させるべきか発問の活用方略を明らかにすることである。本年度の研究では、異なるタイプの発問同士の連携のあり方について考察を行い、その活用方略をまとめる。 (1) 事実発問、推論発問、および評価発問を連携させて授業を行うことで、生徒のより深い思考を促し、指導後に生徒に意見や考えを表現させる活動でより豊かな表現を促すものと予想される。例えば、事実発問の有無や発問内容によって、テキスト理解における理解度や思考度に変化が見られる可能性が考えられる、また、推論発問や評価発問の有無や連携の仕方により、生徒がテキスト内容の読みを深めたり、生徒の意見の表現を豊かにしたりすることが予想できる。そこで、英語授業の3つのそれぞれの段階において最適と思われる事実発問、推論発問、および評価発問の連携方法や内容について整理する。 (2) 事実発問、推論発問、評価発問の連携方法についての考察結果をもとにしながら、英語授業における展開の中での、事実発問、推論発問、評価発問の順序性および発問数、そして発問内容を精選し、発問の連携方法に関する仮説的な活用方略を考案し、効果的な発問の具体例を提案する。具体的には、英語授業のプレ段階やイン段階においての、リスニング指導およびリーディング指導に最適な事実発問・推論発問の活用方略、英語授業のポスト段階における、スピーキングやライティングなどの表現活動までを見据えた推論発問や評価発問の連携方法について具体的に提案する。
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Causes of Carryover |
予算額と執行額との誤差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の研究費に若干の繰り越しが出たが、次年度の研究計画を進める上で旅費などに加算して使用する予定である。
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