2017 Fiscal Year Research-status Report
食生活における自己管理力を育てるための家庭科食教育カリキュラムの開発と評価
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16K04683
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
矢野 由起 滋賀大学, 教職大学院, 教授 (00140054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家庭科教育 / 食生活 / 自己管理力 |
Outline of Annual Research Achievements |
自立した生活者を育てるためには、生活者一人ひとりが自分の生活課題を的確に捉え自分で課題を解決することができる自己管理力を育むことが重要となる。生活上の問題や課題を解決するためには、問題や課題を一面的に捉えるのではなく、多面的・多角的に捉え、生活上の種々の制約のある中で、合理的で実現可能な意思決定をしていかなければならない。本研究では、生涯にわたって安全で健康的な食生活を送るための自己管理力を育てるために、家庭科における食カリキュラムを開発することを目的とする。 本年度においては、食生活上の課題をリスクと捉え、社会学や経済学におけるリスク研究をはじめリスク管理に関する基礎的文献および資料を収集し、リスク管理の理論と方法について検討した。その結果、危機とリスクの概念について、危機管理とリスクマネジメントの概念について、国家レベル、企業レベル、家庭レベル等の危機管理主体によって対応対象となる危機やリスクは異なり、またリスク回避方法やリスク処理手段も異なることなど、リスクの捉え方と考え方に関する基礎的知見を得ることができた。食生活レベルのリスクにおいても、いくつかのレベルの異なるリスクが想定でき、それぞれのリスクに応じて、処理方法や処理手段、リスク予防方法は異なることなど、食生活におけるリスクの捉え方・考え方及びリスク管理の特徴について整理することができた。こうした理論的研究により食生活における自己管理力を育てるためのカリキュラムを開発する上での構想を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
危機とリスクの概念および危機管理とリスクマネジメントの概念について知見を得ることができた。また危機の管理主体によって対応対象となる危機やリスクが異なり、リスク回避方法やリスク処理手段も異なることなど、リスクの基本的捉え方・考え方に関する知見を得ることができた。こうしたリスクに関する理論的研究を援用して、食生活レベルにおけるリスクの捉え方および特徴を整理することができ、食生活における自己管理力を育てるためのカリキュラムを開発する上での理論的基盤を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学生を対象とした食品行動観察調査を行う。食品選択場面を設定し、食品購入行動を観察し、食品購入時における食品評価の視点や評価方法に関する知見を得る。その結果をもとに、食生活の実態に基づいた食生活における自己管理力を育てるための学習内容と学習方法について検討するとともに、効果的な教材を開発するための視点を得る。
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Causes of Carryover |
理論的研究の充実と深化を図るため、図書の購入や資料の入手に重点をおいた。そのため計上していたパソコンの購入を見送ることになり、次年度使用額が生じた。 食品行動観察調査におけるデータ入力や統計処理、および効果的な視聴覚教材を開発するため、パソコン等の備品を購入する計画である。
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