2017 Fiscal Year Research-status Report
国語科教育におけるメディアを活用したマルチモーダル・リテラシー育成の研究
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16K04685
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
羽田 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (90509788)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非営利広告 / アクティブラーニング / 単元マネジメント / メディア / マルチモーダル・テクスト / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
主として、English & Media Centre(2008)刊行の"Doing Ads"の分析に時間を費やした。特に、「非営利広告」単元の分析・考察を行ってきた。現時点であきらかになっているのは以下のことである。 ・「非営利広告」単元に扱われている広告には、「チャリティー」、「コーズリレーティッドマーケティング」、「公共広告」の3種類があり、同じ非営利でありながらも、その目的、対象、期待する結果については大きな違いがある。・イギリスにおける「非営利広告」には、衝撃方略と呼ばれる、視聴者に刺激的な情報をつきつけることで目的を達成する手法が多く取られている。・これら刺激的な表現を含む広告は、日本では馴染みのないものであり、異文化理解としての教材価値はあるが、「広告」学習としての効果としては様々な困難が伴う。・「非営利広告」は社会問題、時代背景とのつながりがより強く見える素材である。本単元でも、児童虐待、第三世界の貧困、禁煙、性教育などに関わる広告が取り上げられており、広告というフィルターを通してそれた社会問題について考えることになる。・日本の総合的な学習の時間において扱われる可能性はあるが、国語の時間に扱うには、政治的な問題が入り込みすぎる面もある。 「非営利広告」を扱った理解・表現活動をICT機器を活用して行うこと自体は十分に可能であると考えるが、では、日本でどの広告を使うのか、という点において、イギリスのものからの示唆を導き出すことができなかった。"Doing Ads"という教科書がメディア・スタディズを意識した編集であることもその要因である。しかし、「広告」を媒介とした、理解・表現活動の単元マネジメントのあり方として、本単元が示した「課題」の作り方は、日本のアクティブ・ラーニングを考えるうえで大いに参考になるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象の分析、考察については計画通りに進んでいるが、ICTを活用した授業実践に至っていない。部分的な実践は大学の授業の場を使って試行できているが、研究全体の検証授業にはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
教材の開発に積極的に取り組み、検証するという作業を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
研究計画書に示したように、本年度はこれまでの研究成果を書籍として刊行する予定である。その経費の一部科研費を使用するが、その費用が大きくなることが見込まれるため、当該年度の費用を抑えた結果、次年度使用額が現在の額となった。
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