2017 Fiscal Year Research-status Report
日米の小中学校・大学のパートナーシップによる美術教育の国際協働学習モデルの開発
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16K04692
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 和世 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20363004)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際協働 / 異文化間教育 / 図画工作 / アメリカ / 異文化感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は、以下の4点にまとめられる。 (1)米国のグローバル教育先進校であるシカゴ大学実験学校の小中学校で行われている美術教育の実態について、11月に現地調査を行い、翌年3月に、同大学実験学校のディレクター並びに教師と平成30年度に行う共同研究の計画について協議を行った。 (2)広島県と米国インディアナ州の小中学校教員の協力を得て、異文化間の相互理解を目的とした図画工作・美術科の題材を開発し、約250名の児童・生徒を対象に質問紙調査を行い、その教育的効果を明らかにした。質問紙調査からは、開発された題材が、異文化感受性を高めることに効果があることが示され、質問紙調査の記述内容の分析から、美術教育における「異文化感受性発達モデル」を作成した。 (3)9月に全米美術教育学会の前会長であるパデュー大学芸術学科教授であるロバート・セイボル博士を広島大学に招聘して、「これからの美術教育の在り方をグローバルに考える―日米交流を通して―」をテーマに本研究の協力者を交えて研究協議を行った。協議からは、日米両国の美術教育に共通して、文化の多様性の助長、協働を伴う学習の促進、子どもの感性を育てる学習の在り方などが課題となっていることが確認された。 (4)国際共同による図画工作・美術科の学習開発を通して形成された教師の力量について、質問紙調査とインタビュー調査を行った。ウェブ会議による授業研究をテーマとした研究会を通して、他国の教師と直接の対話を行うことが、教師のグローバル教育に対する意識向上や異文化感受性などの能力向上に効果があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)全米美術教育学会の前会長であるパデュー大学芸術学科教授であるロバート・セイボル博士との協議が実現することで、グルーバル化する今日に対応するために、米国の学校教育がどのような方策を立て、美術教育では、理論レベル、及び、実践レベルで、何が具体的に進められているかが明確になったこと。 (2)世界的レベルで教育の先進校であるシカゴ大学実験学校との共同研究の計画が進んだこと。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)シカゴ大学実験学校と広島大学附属校の協力を得て教育研究のパートナーシップを築くこと。 (2)P21で新しく出されたグローバル教育のスタンダード、並びに、全米美術教育学会が2014年に公表した全米視覚芸術スタンダードのグローバル教育にかかわる内容などの検討を通して、グローバル教育に特化した美術教育のスタンダードの作成に向けて研究を推進すること。
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