2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Study on the Level of Understanding of Mathematics through Constructive and Instructional Learning Methods
Project/Area Number |
16K04697
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉村 直道 愛媛大学, 教育学部, 教授 (90452698)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 構成的な学習 / 教授的な学習 / 理解の定着 / 過程や結論の再現 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年8月に実施した問題解決の解決過程の再現調査を、2ケ月後、半年後、1年後、2年後、3年後と計5回、6名の被験者に対してパネル調査を行った。 その結果、次の4つの結論を得ることができた。1.構成的な学習による解決の方が、理解の定着がよいと考えられること。しかも、構成的な学習で正解に至っていたものについては、理解の定着も高く、再現できない割合も相対的に低いことがわかった。2.再現できた人の割合の推移や、再現の自信度の推移においては、構成的あるいは教授的の二つの解決ともに同じような推移のしかたでそれらは推移していることがわかった。3.早い段階で再現できた人は、構成的あるいは教授的の二つの解決のしかたによらず、高い割合で3年後も再現もしくは妥当な解決を展開することができていた。4.構成的な解決は、一旦共有された解決であってもさらに修正、改造される余地があり、さらに妥当な解決へと変化することがある。 これらの結果を受けて、学習者たちだけの構成的な学習による解決は、教師によるスムーズで理解しやすいと想定される展開での教授的な学習による解決と比べて、必ずしも劣るものではなく、理解の定着の点においては、自らが解決を図っているため、再現の可能性も再現の自信度も高い。しかし、その解決は必ずしも事前に想定される妥当な解決に至る保証はない。その点が問題である。実際には、うまく教師が解決に介入し、学習者たちの主体的な学習を保障した上で、教師を含めた参加者全員で妥当と判断する解決を図っていく必要があると考えられる。 課題としては、被験者が高々6名であり、かつ、かなり特殊な問題に対しての調査であったことから、このグループ・この問題・この期間において導出された結果であり、限定的なものである。より調査の規模を大きくし、今回導出された結論を今一度検証し、少しでも一般性のある主張に高めていく必要がある。
|
Research Products
(1 results)