2019 Fiscal Year Research-status Report
介入参画的アプローチによる若年教師の力量形成に関する実証的研究
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16K04723
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
山口 孝治 佛教大学, 教育学部, 教授 (50460704)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 授業研究 / 体育 / 教授戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、採用5年目の小学校教員1名を対象に、彼の授業実践における教授戦略の変容について経年変化の観点から分析した。まず、モニタリング関連とコミットメント関連について、今年度の結果より、前者が30%で後者が47%で最も高い比率を占めていた。これらの戦略は3年前と昨年度も最も多い割合を占めており、これには教材の影響が考えられた。すなわち、この3年間は何れも「陸上運動領域」の教材を対象としていたため、練習活動の場面における教師と子どもとの1対1の言語的相互作用が多くなったことである。 次に、シグナリング関連の教授戦略について、これらの教授戦略の合計は、16%(3年前)から23%(今年度)へと向上していた。子どもの状況(つまずきの様子等)に応じた的確な支援が行えるようになってきたことを示している。とりわけ、重複戦略が伸びていたことが認められた(7%→14%)。 最後に、インセンティブ関連の教授戦略について、この教授戦略の合計は、3年前及び今年度ともに24%であり変化は認められなかった。しかしながら、その内実についてみると、単一戦略が13%から7%へと減少したのに対して重複戦略は11%から17%へと増加していた。 被験教師は授業の導入部分に当たる課題の形成場面において、3年前の子ども達への提示・説明的な様子から、今年度の実践では子ども達の学習カードの記述内容を紹介し、書いた本人に自分の言葉で説明させたり、演示させたりするというやり方を用いて、課題(めあて)を明確にしようとしていた様子が認められた。6つの教授戦略は階層的な構造になっており、インセンティブ戦略とシグナリング戦略は上位の戦略になる。この結果は、被験教師が3年前に比べてインセンティブ戦略とシグナリング戦略を的確に発揮できるようになってきたことを示すものであり、ここに被験教師の成長の証が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、予定していた授業収録の時期が対象学校の事情で遅くなったことにより、分析が終わっていない事例があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、分析を完了させ、この4年間の成果としてまとめ、学会や論文等にて公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度予定していた授業収録が遅れ、そのための分析が年度内に間に合わなかった。それにより予定していた成果の公表(学会発表や論文投稿)ができなかった。今年度はこれらのことを行っていき、その費用として活用していく予定である。
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