2017 Fiscal Year Research-status Report
科学概念とミスコンセプションの関連の解析と授業法の開発
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16K04725
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
多賀 優 龍谷大学, 農学部, 准教授 (00755671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミスコンセプション / 中学生 / 高校生 / 大学生 / レンズ / 科学的概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度実施した大学生を対象とした「レンズの性質」についての素朴概念調査法を用いた調査を解析し,ミスコンセプションの原因等の解明を試みた。調査は大学3回生104人(社会学部36人と理工学部68人)に,凸レンズへの入射光がレンズを通過時にどのような経路をたどるかを問う素朴概念調査を実施した。 その結果,間違った回答である「レンズの中心線でのみ屈折する」と答えたものが62人・60%と一番多く,明らかにミスコンセプションを多くの大学生が持ち合わせていた。このミスコンセプションの要因としては,中学校の授業で用いられる作図法の影響が考えられ,記述を検討した結果,作図で像の位置や大きさを正しく描けても,単なる機械的な作図であり,レンズの性質の理解で重要な屈折の現象がレンズの性質と結びついていないことが明らかになった。このように,大学生のレンズの中心で入射光が屈折するというミスコンセプションは,中学校1年生の理科での凸レンズの学習が影響していることが明らかになった。 また,同様の調査を滋賀県内の中、高等学校で実施した。その結果、中学校、高等学校、大学の年代において、ほぼ同様の割合でレンズに関するミスコンセプションを保持していることが明らかになり,中学校時代のレンズの学習で生起したミスコンセプションが中高大と保持されていることが明らかになった。 また,ミスコンセプション保持者の中には,中学時代に学習した事実を記憶していないが,ミスコンセプションを自分の考えとして確信している者が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中学校から大学における,凸レンズにおけるミスコンセプションの保持の状況を明らかにすることができた。また,ミスコンセプション保持者の中には,それを生起する原因となった授業やその内容を記憶していないが,自分の考えとして確信している者がいることも明らかできた。
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Strategy for Future Research Activity |
中学校において凸レンズの授業実践を行い,そこでの生徒の理解の解析を行う。また,ミスコンセプションを修正し,生起しないための授業法についてさらに実証的に検討を行い検証する。また,ミスコンセプションと正しい概念を持つ生徒の記述の特徴を明らかにするため,機械学習を用いた手法の検討も実施する。
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Causes of Carryover |
その他(会議費)及び通信費の使用がなく,次年度使用額が発生した。なお,この金額は会議費等として使用する。
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