2017 Fiscal Year Research-status Report
クリッカーを使った学生応答システム開発と創造系科目への展開
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16K04732
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
宍戸 道明 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30509675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 司 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30300528)
小野寺 良二 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40460331)
山田 充昭 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10300526)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / クリッカー / ピア・インストラクション / スマートデバイス / 双方向授業 / エンジニアリングデザイン / 融合複合教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,前年度に引き続き①継続的な授業運用試行 を重ねるとともに, ②最適人員配置シミュレーションの検討と試行 について取り組んだ.また,得られた知見について③学会発表による議論 を行い,夫々においてほぼ計画を満足する取組を行った.各事項の進捗と成果について以下に記す.
①継続的な授業運用試行: 当該年度の授業導入実績として,本校の授業では総合工学(本科2年),歴史(本科2年),医療福祉機器工学(本科5年),実践的デザイン工学実習(専攻科1年),技術者倫理(専攻科1年)の5教科による試行を行った.加えて,他大学における技術者倫理(学部2年)についても試行を行った.それらによって得られたことは,まず工学教育では普及が立ち遅れているクリッカーの導入授業が大きな新鮮さを与える反応を得た.次に,唯一解が存在しない課題や学生が意思表示しにくい問い等については,匿名性が担保されたアンケート機能の活用によってデータ集計が瞬時にかつ結果が視覚的に公開できるようにした.とくに,プレゼンテーションの学生相互評価やプレゼンテーション評価における教員評価と学生相互評価の結果照合は,大変興味深い試みとして深い議論に結びつけることが出来た.この結果として,潜在化していた学生の意識の顕在化が図られ,授業への参加意識の向上が図られている.また,小テスト機能を活用することで学修知識の定着化を図ることができた.得られた知見は,国際学会で報告するとともに,論文投稿を行った. ②最適人員配置シミュレーションの検討と試行: 学生の個性や行動特性における自己評価データを収集する予備調査を行い,得られたデータを基に統計学的手法を用いてグルーピングを行うアルゴリズムを構築し,実際のグループワーク学習を行った.得られた結果より,現在はアルゴリズム改善に着手している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度までの研究により,クリッカーを用いた双方向授業は,1)授業への導入はデバイスの効果的な活用を図る教育コンテンツ設計が必要であること 2)アンケートによって得られたパーソナリティや行動特性の自己評価データを活用してグループ編成を行うことは,各グループ間のパフォーマンス平滑化に効果をもたらすこと を把握した. 1)授業への導入については現状で適用している科目について,さらなる効果的な応用展開を図るべく,継続して導入の試行を重ね検討を図る.とくに唯一解の不存在,決議論を扱う技術者倫理(専攻科/大学)では,本科におけるクリッカーの活用(授業の理解度や参加意識の向上など)だけでなく,発言者の匿名性を担保した議論およびその深化に大変効果的な成果をもたらした.これらの得られたノウハウを踏まえ,授業内でのクリッカーの活用(頻度やタイミング,その他)について導入効果の分析を進め,他の新しく導入する科目や導入の際のノウハウの蓄積と活用の展開を目指す. 2)アンケートによる個人特性の収集データを基にしたグルーピングについては,演算アルゴリズムのトラブルシューティングと,発展的活用の研究に取り組む.まず前者は専用PCを設置し環境の充実化を進める.次に後者は,グループパフォーマンスの平滑化の検討を継続し,実質的応用を図るための事例収集に努める.さらにこれとは逆に,意図的にパフォーマンスの高低格差を設ける研究に発展させる.この試みは,とくに体育系の授業や団体競技系部活動のベストメンバー編成に効果をもたらすことが期待されるため,このような応用研究に着手してゆく.
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Strategy for Future Research Activity |
学生に端末を貸与する形式のハードウェアタイプのクリッカーについて,全数チェックを行う.利用による耐久性や消耗度合によりこのメンテナンスに充当する.消耗品類やアクセサリー類についても同様とする. 最適人員配置シミュレーションについては,その演算処理に対して汎用的廉価版PCでは処理実行速度に不適当であることを把握した.そのため,要求に適合する仕様のPC調達の検討を進める.専用機を設けることにより,シミュレーションの演算試行の合理化と,演算試行プロセスの高い操作性(インターフェース充実化)を備えるソフトウェアを開発する. また,得られた知見や成果は論文投稿および学会発表を複数行うことで省察・改善に結びつけ,ハードウェアやノウハウを有機的に展開および定着化することを目指す.
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Causes of Carryover |
データ収集に要する作業が教員相互で補完することが出来たことから,学生アルバイトに支出が生じなかった.また,データ分析や最適人員配置シミュレーションのアルゴリズム構築などの面において,適切なハードウェア調達による改善の必要性を認識しつつも,その要求仕様の検討に慎重に臨んだために,次年度所要額が生じている. 本年度の使用計画は,備品整備の充実化を図りながら,必要となろう消耗品類については早期に把握し,調達計画を立てる.とくに端末バッテリー(ボタン電池)は経時的な消耗・交換時期の把握が可能なので,予め必要数を算出しておく.
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