2016 Fiscal Year Research-status Report
高専国語教育における反転授業導入に伴うコンテンツ開発並びに教育効果の検証
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16K04734
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 元紀 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 講師 (40756516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 仁 小山工業高等専門学校, 一般科, 講師 (80714691)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 反転授業 / 高専 / 国語 / プレゼンテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、高専教育の中核を担うモデルコアカリキュラム(以下、MCC)案に記載予定の「国語」項目と学生が求める「国語」との懸隔を検討することから始めた。アンケートの結果、国語に実用性を重視する学生が多い傾向にあることを把握した。その上で、講義形式での国語教育から脱却し、自ら問題を発見し解決するための話す・聴く・書く力(技術者として働き、社会生活を営む上で必須となる国語力)を養うことに特化した高専国語教育の確立と実践を方針として定めた。 まず、研究分担者(小山高専・田中仁講師)と相互に授業見学・意見交換を行い、現在実施しているアクティブラーニング(以下、AL)形式での授業における問題点を挙げ、ブラッシュアップすることを行った。それに伴い、授業で使用する教材の共有化も開始した。また、社会科科目を担当する教員と連携し、代表者が籍を置く高知高専では、学生の実用的な国語力を試す場として今年度より「うなづくプレゼン」という問題解決型のプレゼンテーション大会を始めた。本大会では「地産外商×エンジニアリング」をテーマとし、高知県、県工業会と連携することにより、従来連携が困難であった地元産業界との人文社会系分野での産学官連携が実現できた。来年度以降も継続して実施する予定である。 本年度後期にも再度授業見学・意見交換を行い、年度末の授業において試行的に反転授業を行った。実施に伴う学生に対する環境整備が整っていないため、IoTを利用しない形で行わざるを得なかったが、実施に大きな問題は見られなかった。その後、平成28年度実施授業に関するアンケートを高知高専・小山高専の1・2学年で実施し、現在データの精査にあたっている。同時並行で平成29年度からのシラバス大幅改訂に向けた検討会を開き、年間を通してAL形式(一部反転授業を含む)で展開するシラバスを作成し、評価基準の設定、授業設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げたMCC案の検討、使用教材のアーカイブス化による共有、実用的な国語力を養う授業設計・評価、翌年度のシラバス改訂などは実現し、おおむね順調に研究は進展している。また、昨年度末にはMCC案の改訂版がリリースされ、本研究が進めるAL・反転授業を展開し易い形に大幅改訂された。それを受けて、次年度からはALに特化したシラバスを作成し、ALを用いた反転授業用国語教材の作成も共同研究者や研究協力者と共に進めることが可能となった。その点に関しては、当初の計画以上に研究が進展していると言える。 本年度の大きな成果としては、学生が求める国語力が把握できたことと、その力を実践することができるプレゼンテーション大会を企画できたことにある。このプレゼンテーション大会は当初の計画には入っておらず、研究を進める上で必要と判断して企画し、実施したものである。産学官連携で行うことにより、学内から学外へと学生の考えを送り出すことができ、学生にとっても自らが求める実社会で必要な国語力を試すことができたと考える。なお、一案件に関しては県内企業を交えた研究が進められようとしている。以上より、計画そのものの進捗は予定通りに進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は反転授業の教材の作成と検証を行い、一部の授業においてIoTを利用しながら試行することを予定している。平成30年度からの反転授業運用に向けて、後期には反転授業に関するトライ&エラーを繰り返す予定である。なお、研究分担者と研究協力者の異動に伴い、高専だけではなく大学を含めた高等教育機関を視野にいれた国語関連科目での実施・検証を検討している。また、平成29年度からは阿南高専・坪井泰士教授にも研究協力を依頼し、引き続き複数高専によるデータの収集は可能となった。使用教材の作成も複数名で進め、可能な限りアーカイブス化することを目標とする。その上で、高等教育機関における国語関連科目の在り方の再検討と更新を目指している。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要と判断したプレゼンテーション大会(高知高専うなづくプレゼン)、ビブリオバトルの実施に伴い、購入を予定していた機材(プロジェクタ)の購入時期が平成29年度から平成28年度に変更となったため。また、当初予定していた仕様と変更することになり、その差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記プロジェクタと購入時期を変更し、平成28年度に購入予定であったノートパソコンを平成29年度に購入する際に差額分は使用することとする。なお、反転授業用教材作成は 平成29年度より実施し、試験的に運用を行う。それに伴う支障は無いと判断される。
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Research Products
(1 results)