2016 Fiscal Year Research-status Report
スペインの義務教育課程における価値教育の研究-LOMCE法成立後を中心に-
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16K04742
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
村越 純子 埼玉大学, 教育学部, 非常勤講師 (80456003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 美江子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40297049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 価値教育 / 宗教教育 / スペイン |
Outline of Annual Research Achievements |
スペイン科学研究高等会議(Consejo Superior de Investigaciones Cientificas: CSIC)人文社会科学研究所(Centro de Ciencias Humanas y Sociales: CCHS)の客員研究員の立場を得て、現地調査を行った。人口を扱うCSIC研究所では健康問題を主たる研究課題としている。スペインはEU圏内において最も高齢化が進んでいることから、EU圏内の国々の今後の高齢化にともなう様々な現象を把握するうえでスペインが注目されている。スペインにおいては、学校を中心とした健康教育の制度がないため、健康教育に関する研究は主に医学および看護学の領域において行われている。他方、高齢者を対象とした健康教育は、政府系教育機関が推進する生涯学習活動によって進められている。実際に、Confederacion Espanola de Aulas de Tercera Edad(通称CEATE)が主催する高齢者を対象とした生涯学習セミナーに参加したところ、世界第1位という日本の超高齢化現象が注目されており、日本の生涯学習の取り組みのなかで、とくに高齢者の「生きがい」に対する支援活動や、日本の慣習の背景にある「礼」などが好意的に紹介されていた。 2013年に成立した教育基本法(通称LOMCE法)に基づく価値教育に関する教育制度改革の現状については、スペインのエストレマドゥーラ自治州立アゴラ中等教育学校の宗教教員へのインタビューを行った。中等義務教育課程の価値教育としては、「宗教」の授業または「倫理的価値」の授業のどちらでも選択できるようになったことで、結果的に「宗教」を選択する生徒数に著しい減少が起こっていることなどを把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科学研究費助成金申請時に、スペインにおける学校訪問調査を了承していた現地の学校長や現地協力者が急遽転任したことなどにより、現地調査の予定に大幅な変更が求められ、それにともなって研究計画の実践が遅れている。現在、新年度において新たに訪問が可能な学校との交渉を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
スペインにおける学校訪問予定校との交渉をすすめ、確実に授業観察ができる状況をつくれるように新たな現地協力者との信頼関係を構築することに努める。また価値教育として健康教育の実態を把握するためには、スペインにおいては医学部や看護学部、スペイン健康教育学会との連携がもとめられるので、その領域の研究者との信頼関係を構築する必要がある。スペイン科学研究高等会議CSIC研究所における研究協力者の支援を得て、新年度においては比較研究ができるセミナーを実現できるよう交渉を進めている。
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Causes of Carryover |
現地の学校訪問予定先の変更に伴い、現地調査の予定が大幅に遅れ、それにともなう翻訳作業が遅れている。翻訳作業の謝金を新年度予算として使用することに変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に行えなかった学校訪問とそれに伴う翻訳作業を新年度予算のなかで新たに行う予定である。
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