2018 Fiscal Year Research-status Report
個性豊かな子どもを育む小中学校教員養成のための「形学習プログラム」の開発
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16K04743
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
内田 裕子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40305024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岩 幸太郎 大分大学, 教育学部, 名誉教授 (90223726)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 形 / 美 / 感性 / 趣味 / 夢 / 人格 / 動機付け |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、発達段階に応じた形の学習プログラムの考案及び学習を促す出題方法の検討のため{①形の学習目的、②形の学習内容・方法}の研究を行った。 ①「形の学習目的」の研究では、子どもの自由な造形活動において、美しいものやことに対して感性を働かせて考えることの重要性を示すと共に、こうした活動を促すには、子どもが取り組みたいと思う魅力となる美(自然)が教材に内包されることの必要性を示した。また近年「生きる力」として重視されるストレスへの対処力を造形・美術教育で育成することの可能性を検討し、ストレスを軽減する「趣味〔hobby〕」が「美的趣味〔taste〕」と重複する点を明らかにし、その趣味の教育にはV. ローウェンフェルドが提唱した美術教育療法が有効であるとした上で、美術教育療法の成立のためには、遊びの創造的で美的な潜在力に注目した人間学的な遊戯観に基づく「遊ぶことを学ぶ」ための教材開発が必要である点を確認した。 他方、②「形の学習内容・方法」の研究では、①の結果に基づいて開発した教材及びカリキュラムを小学校教員養成課程の授業で実施し、その学習順序と内容を、P. クレーが『教育スケッチブック』に挙げた講義を手掛かりに検証して、結果、難度が高い内容の学習を複数回行う教材及びカリキュラムへの改良の必要性を確認した。また、形に関する知識を大学生に尋ねたアンケート結果をB. ムナーリの『円』『正方形』『三角形』の内容と比較し、大学生の回答が学校教育で習得した算数及び数学的内容に限られ画一的であったことから、見立てや印象、文化や伝統等の汎用性があり制作方法に着目出来る知識や、形の捉え方をメタ認知したり思考したりするための鑑賞の発達段階や美術批評に関する知識、更には論理的な感性の理解のための知識の習得が必要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した研究内容は概ね遂行しつつあるが、本年度予定していた海外の美術施設に赴いて行う調査を延期したため上記の進捗状況とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、海外での形の学習に関する資料の収集及び調査に加え、「形学習診断表」システムの構築及び「形学習プログラム」の自学自修用アプリの配布に向けた研究を行う。
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Causes of Carryover |
海外の美術施設に赴いて行う調査に関して余儀無く延期せざるを得なかったため、次年度使用額が生じた。そのため、次年度は、海外の美術施設での形の学習に関する資料の収集及び調査のための宿泊費・交通費、プログラムの作成に関する研究打合せのための宿泊費・交通費、トナー・カートリッジの購入費、報告書作成のための印刷費等への支出を計画している。
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Research Products
(3 results)