2017 Fiscal Year Research-status Report
日中韓における書教育に関わる教員養成モデルの構築-現状の比較・分析を通して-
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16K04746
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
加藤 泰弘 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00292996)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日中韓の書教育 / 教員養成 / 大学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、平成28年度までの中国における実態調査、中国及び韓国における関係法令の翻訳を踏まえ、その分析と比較研究を推進した。日本では、平成29年3月の小学校及び中学校の学習指導要領の改訂を受け、その内容を整理するとともに大学における書教育の現状と課題について再確認を行った。中国については、連携研究者と共同で、関係法令の分析、平成28年度の調査の整理を基にして、小学校における書字教育の実態、大学教育の状況を整理・分析を進めた。また、収集した教科書教材の整理と分析に着手した。韓国については、研究協力者とともに韓国の関係法令について分析を行った。その上で、三国の共通点や相違点、各国の課題について整理を進めた。 これらの研究を踏まえつつ、12月に各国の研究者を招聘して、公開の学術討論会(国際学術シンポジウム)を企画・開催した。中国からは、「中小学書法教育綱要」の編集・作成を担当した雷実氏(華中師範大学教授)、王力軍氏(山西大学准教授)、韓国からは張志薰氏(京畿大学教授)を招聘し、書字教育の現状と課題を報告して、意見交換をするとともに、大学における書字教育に関わる教員養成の実態と展望について意見を交換した。また、当日は約80名の出席者がおり、会場から多くの感想や意見が寄せられ、今後の研究を深化させる上での課題を確認できた。シンポジウムに合わせて研究中間報告書「東アジアにおける書教育と教員養成 上・下」を発行して、広く意見を求めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の成果を「全国大学書道教育学会」で報告を予定していたが、収集した資料が膨大にわたり、分析作業が遅れ、口頭発表をすることができなかった。平成29年度は、研究の一端を広く報告し、意見を求めることを予定していたので、国際学術シンポジウムを開催すべく、連携研究者と企画検討し、中国及び韓国の研究者を招聘して、12月に開催することができた。中国からは「中小書法教育綱要」の編纂を行い、検定教科書の審査に担当した研究者を招聘でき、韓国の研究者とともに、有意義な意見交換ができた。また、各国の大学教員養成の実態が明確になり、今後の研究を推進するうえで貴重な内容となった。 これらの成果は中間報告書「東アジアにおける書教育と教員養成 上・下」に整理でき、前半の研究の進捗の遅れを取り戻すことができた。シンポジウムは広く一般に公開し、多くの研究者からの示唆や意見を得て研究の方向性を考える上で有意義であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、8月に韓国を訪問し、平成29年度に招聘した研究者と意見交換を進めるなど実態調査と資料収集を行う。中国については、これまでの研究の対象が比較的、北京を中心とする都市部の大学に集中していたので、本年は比較的、南部に位置する地方の大学を訪問して研究対象を拡大していくことを検討する。厦門大学等を中心に訪問すべく調整を図っていく。中国で集収した教科書教材については、平成29年度後半から、その整理に着手しているが、その分析作業に本格的に取り掛かり、その結果をまとめ、日本の教科書教材との比較研究を行い、連携研究者との共同研究として報告し、広く意見を求めていく。 また、12月以降、特に日中韓の大学における教員養成の課題について、連携研究者や研究協力者と整理を進め、これまでの研究成果を踏まえつつ、最終年度における教員養成モデルの構築に繋げられるよう研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
12月に訪中を予定していたが、国際学術シンポジウムの開催において、研究者の招聘旅費や翻訳作業等、中間報告書の発行に経費が予定以上にかかり、連携研究者との訪中を断念した。そのために、訪中の旅費の拠出がなく、結果的に使用残額が生じた。 平成30年度には、本年度に配分される研究費と併せて、韓国と中国(南部の地方大学)を訪問し、実査と資料収集、その分析を進めていく計画である。
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Research Products
(3 results)