2018 Fiscal Year Research-status Report
日中韓における書教育に関わる教員養成モデルの構築-現状の比較・分析を通して-
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16K04746
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
加藤 泰弘 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00292996)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日中韓の書教育 / 教員養成 / 大学教育 / 教科書教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、平成29年12月に日本で開催した公開の国際学術シンポジウム「東アジアにおける書教育と教員養成」において相互理解を図った日中韓の書字教育の実態と教員養成の現況を踏まえ、特に韓国の書字教育と教員養成についての研究を展開した。これまでの研究は、各国の関係法令等の比較研究が中心であったが、本年度は、特に韓国の大学における書字教育カリキュラム等に視点を当てて研究を深めた。 具体的には、上記のシンポジウムにおいて招聘した韓国の張志薫教授が教育・研究を行っている京畿大学を研究協力者とともに訪問した。同校に勤務する書教育関連の教員数名と学術討論会を行い、韓国における書字教育・書芸教育の実態と教員養成カリキュラム等についての理解を深めるとともに、日本の書写・書道教育と教員養成の現況を報告して、意見交換や比較研究を行った。芸術教育としての色彩が強い韓国と小・中学校では国語教育、高等学校では芸術教育という日本の教育課程との相違や教員養成の現状について意見を交換した。また、韓国の教員養成大学における書教育を専門とする教員の削減などの厳しい実態が報告され、近年、小学校での書法教育が必修化し教員養成の拡充が図られている中国との相違が際立ち、東アジア漢字文化圏においても各国において、実態の相違があることが明確となった。また、日本の教員養成課程におけるカリキュラムや近年設置が進んでいる教職大学院における教員養成についても紹介し、意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国及び韓国の書教育の関係法令の分析や教員養成については研究を順調に進められ、一定程度の成果を確認できている。当初、研究の対象としていなかった学校現場で使用されている教科書教材の分析や学校現場での実態把握については、研究の深化を図る上で重要であることが判明した。資料収集は行ったが、内容が膨大であり、翻訳等が進んでおらず、分析するに至っていない。韓国の京畿大学で開催した学術討論会は、活発な意見交換がなされ、最終年度への総括に向けて有意義であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、本研究の最終年度であり、前年度、研究が進められなかった教科書教材にも視点をあて、比較研究を展開していく。また、各国の現状と課題や教員養成カリキュラムを再度、詳細な分析を行っていく。また、これまでの研究の成果を総括し、東アジアにおける書教育の展開と教員養成のモデルの構築を行う予定である。また、研究の一部を全国大学書写書道教育学会(鳥取大会)で発表する予定である。 日中韓の学校教育における書教育と大学における教員養成の実態と課題、今後の方向性を体系的に整理したい。東アジア漢字文化圏における書教育に関わる教員養成のモデルカリキュラムについて検討を行い最終的な報告書をまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、訪韓及び韓国における書字教育の研究にとどまり、中国については、訪中しての資料収集や意見交換等を通しての研究を深めることができず、使用残額が生じた。 平成31年度は、本研究の最終年度に当たり、日本における日中韓の学術会議の開催とそれに伴う冊子の作成を行う。また、4年にわたる研究全体を整理し、研究報告書の発行等で配分される研究費を併せ、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)