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2018 Fiscal Year Research-status Report

アクティブ・ラーニングによる思考力育成のための道徳カリキュラムの研究

Research Project

Project/Area Number 16K04747
Research InstitutionRissho University

Principal Investigator

浅沼 茂  立正大学, 心理学部, 特任教授 (30184146)

Project Period (FY) 2016-01-27 – 2020-03-31
Keywords価値葛藤 / 相互理解 / 合意形成 / 道徳ジレンマ / ナラティブ / クロス・カリキュラム / 総合学習 / 論理的思考力
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、アクティブ・ラーニングによる思考力育成のための道徳カリキュラムの研究のために、アメリカや日本の学校の道徳教育の現状について調査を重ねてきた。その中で、すぐれた道徳教育においては、弁証法的思考と価値葛藤という2つの要素が思考力を育てる核となることを見てきた。学校の授業においてこのような要素を取り入れるためには、物語において感情移入ができることと自分の中で、立ち止まって考えるだけの受け止める要素がナラティブの中にあるかということが重要であることが判明した。それはこれまでの多くの道徳物語がそうであるように正しい行いはこうであるというような示範的な指導は、生徒主体の思考過程において、なんら葛藤を起こさないし、ひいては、問題への思考のこだわりを生み出すことはなく、考えるきっかけを失ってしまう。本研究では、このような思考へのとりかがりがどのようにして可能になるのかを、実践例を通して探ってきた。その中で、価値の葛藤する場面において、生徒は初めて問題を問題として捉え、自分の思考する前提自体を見直し、問題として捉えられていない場面が主題として登ってくることが意識されるようになることを認識した。それは、東洋、西洋の洋の東西を問わず、浮かび上がってくる歴史的大事件であったり、個人史的な物語であったり、私たちの日常世界にある問題にあらゆる局面において見られるものであった。それは、特定の教科や単元を超えて存在する物語でもあった。キー・コンペテンシーのPISAのテストや資質・能力のテストは、このような思考力・判断力・表現力などを試すものであり、道徳が教科横断的な総合的なカリキュラムであるということを示している。このための具体的な学習単元の開発を進めてきた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、実際の教育現場での実践と理論的な裏付けについて調査を進めてきたものである。道徳的な指導は、社会科やその他の教科においても行われている。その中で、日本の学習指導要領学習が強調する主体性というものが、思考力育てる道徳の授業においてどのような位置にあり、なぜ、それが強調されなければならないのかを見てきた。それは、多くの学習が自己の経験と乖離した中で進められる場合、学ぶ知識は自分の体験とは関係のないただ暗記するだけの概念や用語の羅列となってしまう。それは、勉強というものが、何ら実体験とは関わりのない、飾り物として考えられているからに他ならない。このような知識観に対して道徳的な要素を取り入れた学習は、国語においても社会においても知識がどう経験に関係するのかを理解するための重要なステップとなる。SNSを教材と使う授業は、このような知識と経験を結びつける有効に使えることを多くの実践例を通して見てきた。けれども、それは情報を得る手段として有効であるということにすぎない。判断の妥当性や認識のメタファーの持ち方は、自分の活動の実体験が根拠となっていることを多くの子どもを見て認識することができた。本研究では、文化や社会的な背景が異なる生活の中で、知識と判断がいかに経験に裏打ちされた中で育っていくのかを見ることができた。多くの記録と資料を収集することができた。

Strategy for Future Research Activity

今後は、アクティブ・ラーニングが目指してきた学習目標について、その本来の目的は、一体何であったのかを問い直し、思考における主体性や経験的な知識の重要性について解き明かして行きたい。道徳的な単元は、この問題を考える上で一番有用な教材を提供してきた。特に、道徳的判断を求められるとき、何が正しいかということはそれは、所与の知識として与えられるのではなく、自己の依って立つ利害状況への反省、何を優先の価値と考えるかということへの自己の気づき、では、何を優先的課題と考えるかという自己反省、そして、他者の利害と自己の関係性への気づきなど、総合的な判断力が問われることになる。このような総合的な判断力は、カリキュラムというものが主体との関わりの中で論じられねばならないということを意味しており、客観的な知識として主観の外にあるものではないということを意味している。道徳的実践の研究の成果は、このような主観性の接点としての各知識が、一体どのような意味を持ちうるのかを明らかにしたことにある。それは、今後、教員養成における教育学的な知識が教師の力量や能力形成にどう関わるのかを研究する上で大いに役に立つ。それは、優れた教師とは何か、そしてそれは、どのように形成されるのかを考える上で役に立ち。それは、官僚的な研修がどのような意味を持つのかを評価できるようになる。今後は、教員養成における主体性の育成はどうあるべきか、そしてそれは道徳的判断力の育成とどのように関係するのかを研究する。

Causes of Carryover

2018年度の研究が予定より早く進み、より多くの予算が必要となったため、次年度使用額が0を超えた。特に、多くの学校調査のために旅費を多く必要とした。

  • Research Products

    (8 results)

All 2018

All Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 1 results) Book (2 results)

  • [Presentation] 対話と深い学びのカリキュラムーハーバーマス的道徳教育ー2018

    • Author(s)
      浅沼 茂
    • Organizer
      日本カリキュラム学会
  • [Presentation] The laughter makes teachers more powerful: more real than didactics2018

    • Author(s)
      Shigeru Asanuma, Shuji Masuda
    • Organizer
      Japan-U.S.Teacher Education Consoritium Conference
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Civic education and morality in Japan: Influenced ny the West2018

    • Author(s)
      Shigeru Asanuma
    • Organizer
      NCTU Global Citizenship Workshop and Conference
  • [Presentation] 八年研究の概要と現代的意義2018

    • Author(s)
      浅沼 茂
    • Organizer
      日本デューイ学会
    • Invited
  • [Presentation] 八年研究とタイラー原理批判の現代的意義2018

    • Author(s)
      浅沼 茂
    • Organizer
      アメリカ教育学会
  • [Presentation] The Japanese autobiographical method creates the children's transcendence in a classroom2018

    • Author(s)
      Shigeru Asanuma
    • Organizer
      6th World Currculum Conference
    • Int'l Joint Research
  • [Book] 思考力を育む道徳教育の理論と実践2018

    • Author(s)
      浅沼茂編著
    • Total Pages
      203
    • Publisher
      黎明書房
    • ISBN
      978-4-654-01947-2
  • [Book] 甦る教師のために2018

    • Author(s)
      浅沼 茂
    • Total Pages
      440
    • Publisher
      川島書店
    • ISBN
      978-4-7610-0925-0 C3037

URL: 

Published: 2019-12-27  

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