2017 Fiscal Year Research-status Report
保育者の子ども理解に必要な感受性の育成のためのプログラム開発と有用性の検証
Project/Area Number |
16K04754
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
林 牧子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20341919)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 保育者の専門性 / 子ども / 感情 / 自己理解 / 他者理解 / リカレント教育 / フィンガーペインティング / 造形的イメージワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育者志望学生及び保育者に、数種類の造形表現活動から構成されている「造形的イメージワーク」を実施し、本ワークが対象者の自己理解と子ども理解の深化に及ぼす影響を明らかにすると共に、保育者の専門性を育成するプログラムとしての有用性を検証することが目的である。 これまでに、まず、本ワークが対象者に与える心理的影響が明らかにされ、自己理解の深化を及ぼす傾向が見いだされた。次に、保育者志望学生を対象として収集したデータを量的分析により検討したところ、造形的イメージワークを構成するワークがそれぞれ独自の機能を有していることが明らかになった。そこで、特に独自性が高いと考えられたフィンガーペインティング(一人で行う個人フィンガーペインティング、集団で行う集団フィンガーペインティングで構成)のワークを保育者を対象として実施した。得られた結果を質的分析によって検証したところ、フィンガーペインティングで使用する指絵具の触感と、手指で描くことによって巧拙を感じないで済むワークの形態が、自身の子ども性を喚起させ、子どもの感情の理解を促すことが示唆された。この結果を基に、ワークの実施過程においてどのような心理的変容が見られるのかを明らかにするため、再度保育者にフィンガーペインティングを実施し、質的分析を行ったところ、個人フィンガーペインティングで満足できたことが、集団フィンガーペインティングに対する充実感を促し、その実感により、子どもが満足したと感じるまで遊び込める環境を用意することが大切であることを実感させることとなった。 以上の検討結果より、造形的イメージワークが保育者の自己理解及び子どもの感情理解を促し、その変容や気付きを対象者自身が自覚することによって、保育者の専門性を向上させる方法となり得ることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データの収集及び分析が順調に進むと共に学会誌にも採択され、予定よりも大幅に進展していると考えられるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度が最終年度となるが、時間的にも金銭的にも余裕をもって研究を遂行できるものと考えている。研究成果は、学会発表及び論文にて外部に公表する予定である。
|