2017 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校(知的障害)における個の自立・発達を促す食育カリキュラムの開発
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16K04764
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
増澤 康男 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 名誉教授 (30119622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 恵津 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70214773)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食育 / 特別支援学校(知的障害) / 教科 / 給食 / 体験学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 特別支援学校(知的障害)食育年間指導計画の策定・評価 昨年度同様,教科等(教科・特別活動・学級活動・合わせた指導=遊び・日常生活の指導と生活単元学習)で行われている食育の内容を積み上げて,全体計画を作成し,共通した目標を設定することで全体につながりをもたせ,体験活動を通して目標を達成することに重点を置いた.また,年間指導計画と関連させて学校給食指導計画を策定し,献立作成に反映させた. 2. 教科等と連携した食育実践における児童の変容,家庭との連携 小学部4年生活単元学習における「お好み焼き」体験学習(全6回実施)の内容,児童の変容等を記録した.次の授業目標1ー3は,ほぼ全員が達成できた.1 お好み焼きに興味を持ち,見通しや期待感を持つ.2 見本や支援カードを見て,包丁やハサミを使って材料を切る.3 少ない支援で「作る、焼く、食べる」の一連の流れを一人でする. 興味関心を継続できる内容とし,集中力を必要とする体験学習の繰り返しに心がけたことが目標を達成できた要因である.また,指導法の工夫としては,支援と見守りのけじめをつける指導法,児童同士の協力を促す指導,児童に応じた道具の使用,丁寧な言葉がけなどが有効であった. 偏食傾向が強く,材料が混ぜ合わされた料理が苦手なAくんは,教師のねらいと保護者の思いを一致させ,「自分で作ったお好み焼きを食べることができる」「家庭でも調理をして食べられるものを増やす」を個別目標とし,各目標を達成できた.その要因は興味関心喚起の継続,体験学習の繰り返し,協力した作業,小さなこだわりへの教師の気づき等と考えられ,Aくんの改善傾向は5年進級後も学校・家庭で継続している.偏食傾向の強いBくんも個別目標を達成でき,給食や家庭での食事で食べられるものが増えていき,その傾向は現在も続いている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の研究実施計画では,前年度に引き続き次の3点を目標とした.Ⅰ実態に則したクラス・個別の食育の目標・評価規準の設定 Ⅱ目標に即した食育カリキュラム・個別教育プログラムの作成 Ⅲ食育実践、児童の学習評価、食育カリキュラム・個別教育プログラムの評価 上記目標の内 Ⅰは達成できた. Ⅱについては食育カリキュラムを目標通り作成し,幾つかの授業で個別目標を設定・評価できたが,個別教育プログラムの作成に至らなかった.Ⅲについては,食育実践、児童の学習評価を行うことができたが,個別教育プログラムの作成・評価には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
29年度,研究協力者である特別支援学校栄養教諭が学校を異動したため,前任校での食育実践を研究の中心としたが,30年度は現任校での食育実践を研究の中心に据える 28・29年度の食育実践においては,特別支援学校(知的障害)においても,体験学習が児童の変容を促す上で効果的である可能性が示唆された.この実績を踏まえ30年度は以下の項目を重点的に研究対象とする予定である. 小学部:前年度に引き続き,児童の実態と保護者の要望を踏まえた一人ひとりの個別目標に照らして,児童の変容を評価し,どのような食育実践が効果的であったのかをより明確に示すとともに,個別教育プログラムの作成・評価を試みる. 中学部・高等部:小学部と同様に,生徒の実態と保護者の要望を踏まえた一人ひとりの個別目標を設定し,食育実践を通した変容を明らかにする.特に小学部より多く実施される農業体験学習や小学部では行われない食品生産学習を通した変容を重点的に明らかにする.
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Causes of Carryover |
年度内3月使用の旅費等(事務係へ請求済み)が未払いであり,繰り越された金額の大部分はこの支払いに充てられる予定.
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