2018 Fiscal Year Annual Research Report
Process and factor of music teachers' autonomy building in Germany
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16K04767
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 真 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (70455046)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教師教育 / 継続教育 / 研修 / 音楽科教師 / 力量形成 / 教師の専門性 / 教師の自律性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、ドイツ・ハンブルク州における現職教員のための研修制度の調査と研修の参与観察、および担当者へのインタビューを行った。また、前年度に招聘・インタビュー調査を行った音楽科教師の勤務するシュタイナー学校(クリストフォルス・シューレ)を訪問し、一連の音楽科授業の参与観察、および教師へのインタビューを行った。 現職教員のための研修は、ハンブルク州学校法において年間30時間が義務付けられている。まず、州の教師教育・学校開発研究所(Landesinstitut fuer Lehrerbildung und Schulentwicklung)で行われている研修を検討した。研修を組織する2名の音楽担当者は音楽科教師に指導助言を行ったり、研修の企画・実施を行ったりする指導的立場の現職教員であり、週の半分を教師教育・学校開発研究所での仕事に、残りの半分を自分の勤務校での授業実践の仕事にあてている。「教材」をテーマとした研修では、教材を模擬授業形式で体験的に触れ、批判的に検討を行ったり、選択した教材について自分の教育観や担当するクラスの状況をふまえて他の参加者と意見交換を行ったりしていた。次に、民間団体の各種研修プログラムを検討した。これらは、広く多様なジャンルの専門的な知識・技能を強化することを主としていた。教師は州や民間団体の研修を自らの課題や要求に応じて選択しており、学校法で定められた研修時間を越えて積極的に学習していることが明らかになった。 シュタイナー学校の音楽科授業の参与観察からは、音楽科教師の授業形成とその準備には生徒の発達と彼らを取り巻く状況を見極めることが重視されていることが浮かび上がり、そのための教材研究の時間を多く確保していた。 これらをとおして、現職教師は自らの実践を省察し、そこで明らかになった課題に対応するために自律的に研修に参加している実態が明らかになった。
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