2017 Fiscal Year Research-status Report
LGBTに関する教師の関与と指導方略の最適化について
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16K04771
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
阪根 健二 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10363178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉井 健治 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50279379)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
葛西 真記子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (70294733)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | LGBT / 教員研修 / 交差性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に実施したセクシュアル・マイノリティについてのアンケートから、LGBTを知っている教員は半数を超えてるものの、授業(指導)が可能かという設問では1割も満たない状況であることが判明した。このような実態から、教員研修等の必要性があると考え、平成29年度には、調査結果を分析し、教員研修の在り方について検討した。 6月3日には、検討研究会(鳴門教育大学)を開催し、データ分析を行った。11月8日には、研究分担者である戸田及び葛西らが、実践交流会(大阪大学中之島センター402教室)を開催し、LGBTに関する研究を行っている研究者や実践者らが集まり、スチィーブン・ラッセル教授(テキサス大学)を招聘して、研究交流を行った、 実践交流会では、本研究が、実態調査を行いながら社会的な注目を集め、その成果を効果的に還元するという方略であること、より俯瞰的な志向性を持っていることなどが再確認された。特にLGBTだけに焦点をあてず、いじめを軸にして、様々なマイノリティ属性がいじめの理由になっているのではないかという点で調査してきたが、これはマイノリティであることがいくつも輻輳しているときに、いじめがどうなるのかという「交差性」であり、社会学の背景をもつラッセル教授から、この点について様々な示唆をいただいたことが大きな成果であった。 LGBTは以前よりは社会が理解を示すようになったが、その変化の中にあって、LGBT当事者のカミングアウトの年齢が徐々に低くなっていることが示されている。1970年代には20歳前後であったものが、2000年頃に実施された研究では14歳前後になっている。このように、問題が生じる枠組み自体に変化がある。そこで3月には、研究代表者(阪根)が、当事者(バイセクシャル)から直接聞き取りを行った。そこでは、教師の在り方だけなく、環境づくりが大きな要因であることが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の調査(質問紙、実地調査)を基盤として、今年度は研究交流会等を行い、今後作成すべき資料の原資を得た。最終年度の資料作成に十分な結果を得たことから、順調に進んでいるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
集めた調査及び聴取結果を参考に、平成30年度は教員研修用の資料を作成する。作成する資料は、学校現場で気軽に活用することが可能になるよう、あえて「LGBT」のみを扱うものではなく、「居心地のよい教室・学校(仮)」をテーマに、どういった教師の行動や環境が児童生徒にとって適切なのか、いじめや自殺等の行動抑制に寄与できるのかを意識して作成していく。なお、その成果を、自己開催シンポジウム、学会(日本生徒指導学会)等で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
研究交流会で招聘したラッセル教授の旅費の支出額が、予想より少額となり、未使用額が出た。これについては、最終年度の資料作成費用とシンポジウムの開催に関する経費として使用する予定である。
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Research Products
(20 results)