2016 Fiscal Year Research-status Report
「教師のキャリアステージに応じたキャリア発達プログラムの開発」
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16K04784
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三村 隆男 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10324021)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キャリア形成 / キャリア教育 / キャリア・ステージ / 教育管理職 / 社会正義 / 発達課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達段階に即した教師のキャリア教育研究においては、日本キャリア教育学会第38回研究大会(札幌大谷大学)にてシンポジウム「教師のキャリア形成と教職大学院」を企画し、また、「教職大学院の学部等新卒学生におけるキャリア・パスの研究」を早稲田大学大学院教職研究科紀要第9号に実務家教員との共著執筆を行い、教職大学院における教師のキャリア形成の研究を深めた。 一方、韓国、シンガポールのキャリア教育とそれに携わる教員のキャリア形成について研究をまとめ、日本キャリア教育学会第34回研究セミナー(帝京大学)にて「韓国・シンガポールのキャリア教育の動向」を発表した。 また、韓国、スペイン、米国への教師のキャリア形成について訪問調査及び視察を重ねた。教師のキャリア形成について、日本キャリア教育学会第38回研究大会(札幌大谷大学)英語セッションにて、The Development of Career Education and Social Justice in Japanをテーマに口頭発表し、また、Conference of the International Association of Educational and Vocational Guidance(IAEVG)(Spanish University of Distance Education、UNED)にて、The Ideas and Actions for Social Justice at the Beginning of Vocational Guidance in Japanをテーマに学会発表することで、教師のキャリア形成における社会正義の概念の意義について議論を深めた。 上記の研究の成果として、教師のキャリア形成における発達課題を検討整理し、キャリア・フェーズにおける課題を整理し、暫定的な「教師の各発達局面における発達課題、概要及び課題への対応資質能力」を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「わが国で行われている教師の発達段階研究の整理」では、教員養成、採用、研修に関するこれまでの中央教育審議会答申等の中で指摘されてきた教師の成長に関わる記述を抽出し、わが国固有の教師の発達の節目とそこで求められる能力・技能、態度・価値観などを整理した。 「わが国教師のキャリアステージ及び発達課題の研究」「暫定的な『プログラム』の策定」では、横浜市教育委員会などが提示した教師のキャリア形成における発達課題を参照し、キャリア・フェーズにおける課題を整理し、暫定的な「教師の各発達局面における発達課題、概要及び課題への対応資質能力」を作成した。 「海外調査研究」では、日本における英語セッションにおける学会発表や、国際学会での発表を通し、海外における教師のキャリア研究者と意見交換を行った。特に今年のテーマとしては、教師のキャリア形成としては不可欠の教育管理職養成をテーマにし、教職大学院における機能について整理した。特に、首都圏の教育管理職における人材不足という深刻な問題を、教職大学院における教師のキャリア・パスとしての教育管理職要養成の可能性について論じた論文「教職大学院の学部等新卒学生におけるキャリア・パスの研究-教育管理職へのキャリア・パスに焦点をあて」(平成29年3月早稲田大学大学院教職研究科紀要 第9号, 53-72)は、本年度の研究としては一定の成果を挙げたと評価できる。 以上、概ね平成28年度の研究計画・方法(概要)に示した通り進んでおり、おおむね順調に進展していると評価できるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度については以下の3点に絞り研究を進めていく。 1.キャリアステージの妥当性を裏づけるためのアンケート調査及び教師訪問調査:平成28年度に策定した「プログラム」の妥当性、信頼性を検討し、修正に資するため、研究代表者が勤務する教職大学院の修了者へのアンケート調査及びそれぞれのキャリアステージにいると想定される者を対象に訪問調査を行い、各キャリアステージに設定されている発達課題が妥当であるかを精査する。これらを通し「プログラム」の修正、改善を行う。 2.キャリアステージ間の移行を促進プログラムの本格的開発:平成28年度に策定した「プログラム」におけるキャリアステージの移行についてその推進の要件と、次のステージで求められる能力・技能、態度・価値観などのレディネス形成について明らかにし、「プログラム」の補完する移行支援プログラムとして開発していく。移行支援については、自らが2015年のIAEVG国際キャリア発達学会で提案したキャリア発達を進める6活動の構造モデルの概念に則して開発を行う。 3.キャリアステージにて直面する危機への対応プログラムの開発:キャリア発達研究においては、その発達を阻害する危機を常に想定する。教師のキャリア発達においても同様の危機は既に研究されている。こうした先行研究をもとに平成29年度「1.キャリアステージの妥当性を裏づけるためのアンケート調査及び教師訪問調査」による結果も参考に、わが国教師が直面する危機について、小学校、中学校、高校、特別支援学校、小中一貫校、中等教育学校など様々な区分の学校について事例を集め、「プログラム」を補完する危機対応プログラムとして開発していく。危機対応プログラムでは、危機に直面した教師のみならず、管理職、同僚教員、教育行政などがどのように対応するかも含んだ総合的な対応を提案する。
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Research Products
(7 results)