2018 Fiscal Year Research-status Report
幼児教育保育における食育の実践的指導力を評価する指標の構築
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16K04786
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
進藤 容子 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (00259532)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 幼児教育 / 保育 / 食育実践 / 指導力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第1段階の目標は,「現場保育者,研究者対象の調査と分析から食育実践に必要な指導力を明らかにする」ことである。平成29年度に実施した幼児保育施設7園の保育者73名を対象としたパイロット調査の結果から,平成30年度は本調査を2種類実施し分析を行った。なお,各調査については相愛大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。 ①食育研究者を対象とした調査:研究者対象の質問内容を,先行研究および保育者対象のパイロット調査で得られた視点から作成し,4名の研究者を対象に半構造化インタビュー形式の面接調査を実施した。その結果,「食育実践に望まれる保育者の資質」として(1)保育者の「食が大事」という意識,(2)保育者が「食」に対し興味をもち楽しめること,(3)基本的な知識,に具体的な示唆を得た。その他,「食のプロセス体験」が重要という認識がみられ,「保育者の『食が大事』という意識」や「保育者が『食』に対し興味をもち楽しめること」を重視していた。 ②保育者を対象とした調査:パイロット調査の結果から調査項目を精査し,改良した質問紙を用いて本調査を実施した。幼稚園,認定こども園,保育所を合わせ100園に依頼し,1000通送付のうち770名の回答を得た。その結果,食に関する意識や関心は比較的高く,学びの必要感も高い傾向があったが,正確な情報を収集し,活用するといった行動や意識は低めであることが示された。また,生活や保育の場面で日常的に触れる機会の多い事項の知識や技術は高かったが,専門的で日常的には触れる機会が少ないと思われる事項については,数値が低めであった。「食のプロセス体験」を重視する群は,食育のねらいを俯瞰的にとらえている傾向がみられ,知識や技術の修得とも関連していた。 これら2種の調査から,保育者の食育実践に関する実態,食育実践に求められる資質等の示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度である平成28年度は,調査協力者への連絡調整,倫理審査等の環境整備および調査内容の検討に時間を費やしたため,申請時,平成28年度に予定していた各調査の実施が平成29年度実施となった。平成29年度は,年度当初に予定していた調査を実施したが,質問紙をより完成度の高いものとする作業に時間をかけたため,調査および分析が一部残った。平成30年度は,それらの調査および分析を実施した。したがって,計画当初平成29年度に実施を予定していた内容は完了した状況である。当初平成30年度に予定していたルーブリックの試作と評価の試験的実施については,令和元年度中に終了できる見通しである。予定していた評価項目の提案も併せて実施できると考えている。これらの状況から,進捗状況は「やや遅れている」である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究進捗状況は,「やや遅れている」であるが,研究自体は交付申請時の計画にしたがって進行しているため,計画内容は変更することなく遂行したい。必要な調査については完了し,分析もおおむね終了している。令和元年度は,分析結果から,評価の観点を作成し,規準,項目を作成する。次に,ここまでに整理した「どの程度重視されているのか」のデータを参考にして,各項目について基準を示す評価語を検討し,ルーブリックを試作する。入力,集計の効率化のためルーブリックを電子化する。 試作したルーブリックの有効性を確かめるため,現場保育者および保育者養成校学生を対象に評価の試験的実施を行う。調査は,平成29年度に調査協力を得られた幼稚園,保育所,認定こども園から各5園の保育者と,保育者養成系の4年制大学(申請者本務校を含む)および短期大学の学生を対象とする。本務校では,学習経過との関連を見出す目的で,全学年の学生を対象とする。実施方法は,直接依頼し承認を得た園・校の実情に合わせ,紙もしくは電子媒体でのルーブリックを送付して回答を依頼する。回収は返送もしくは直接受取りにて行う。調査の趣旨説明は,園・校の教職員に依頼する。 評価の試験的実施結果から,規準,項目の妥当性を検討する。活用の利便性にも配慮しながら,ルーブリックの精密化を行う。研究成果をまとめ,食育の実践的指導力評価指標を提案する。
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Causes of Carryover |
(理由)主として,平成30年度中に実施予定であった,ルーブリックの作成,電子化および,ルーブリックの試験的活用調査が未実施となったためである。 (使用計画)平成30年度に実施を計画していたルーブリックの電子化,試験的実施に係る消耗品に使用する。用紙,印刷消耗品等物品費(\10,000)。関連文献,図書費(\20,000)。アプリケーションソフトの購入(\150,000)。調査協力者との通信・郵送費(\20,000)。
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