2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児教育保育における食育の実践的指導力を評価する指標の構築
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16K04786
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
進藤 容子 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (00259532)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幼児教育 / 保育 / 食育実践 / 指導力 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,「食育実践力の評価指標の構築」をめざし,評価の視点を得るために,保育者及び研究者を対象とした調査を実施した。2021年度は,調査結果及び分析から得た成果を踏まえ,食育実践力評価の方針を定め,評価ツールを試作した。 食育実践力評価の方針は次の3点である。①「季節への感性」につながる資質との共通性などから,評価は,保育者の意識と態度の把握に重点を置く。②知識習得に向けた意欲をより適切に評価するために,知識の習得実態を正しく自己判断できるようルーブリックでの自己評価のステップを入れる。③評価を食育実践の改善につなげるため,保育者自身にこれらの視点を重視する理由の理解を促し,必要感を生じさせるしくみを入れる。 以上の方針から,「食育実践力評価ツール」は,「1.知識・興味編」「2.意識・態度編」「3.自己評価記入欄」で構成した。「1」「2」については4段階評価,「3」については「1」「2」の結果からの気づきを自由記述する形式とした。「1」は,意欲・態度を評価したいため,理解度の評価ではなく、知りたい意欲を把握する選択肢とした。「2」は意欲を把握する選択肢とした。「1.知識・興味編」について,各自がイメージする知識内容には差があるため,「知識の解説資料」を作成し添付した。これによって,評価の正確さを図るに,評価ツールに回答することを通し,食育に必要な知識に気付けることも意図した。「3.自己評価記入欄」には「評価結果の見方」を添付し,評価項目設定の背景の説明と解説を示した。試作した評価ツールは,Webで回答ができるよう整備した。 研究を進める中で,幼稚園及び保育所の保育者に差がみられた。保育所の保育者は,食のリテラシーが高ければ食育実践につなげることができるが,幼稚園ではその関連は低いことが示唆され,評価ツールの用い方など介入には工夫が必要と考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究初年度である2016年度は,調査協力者への連絡調整,倫理審査等の環境整備および調査内容の検討に時間を費やしたため,申請時,2016年度に予定していた各調査の実施が2017年度実施となった。2017年度は,年度当初に予定していた調査を実施したが,質問紙をより完成度の高いものとする作業に時間をかけたため,調査および分析が一部残った。2018年度は,それらの調査および分析を実施し,計画当初2017年度に実施を予定していた内容はほぼ完了した状況ではあったが,評価の観点を吟味するにあたり,分析をさらに精査する必要が生じた。そのため,2019年度は,再度精密に分析を行った。予定していた評価指標の試作と評価の試験的実施については,2019年度中に取りかかることができず,1年間研究期間延長を申請した。2020年度は,分析内容を精査しながら評価指標を定め,評価ツールを提案する予定であった。しかしながら,新型コロナウイルス感染症対応で他業務多忙となったため,予定通り研究を進めることができず,さらに1年間研究期間延長を申請した。2021年度は,食育実践力評価ツールを試作することができたが,コロナ禍の影響もあり,評価ツールの有効性の検証をすることができず,さらに1年間の研究期間延長を申請した。これらの状況から,進捗状況は「遅れている」である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究進捗状況は「遅れている」であるが,研究自体は交付申請時の計画にしたがって進行しているため,計画内容は変更することなく遂行する。すでに,必要な調査と分析は完了し,その成果を踏まえ,食育実践力の評価ツールを試作できている。 2022年度は,試作した評価ツールの有効性を確かめるため,幼稚園,保育所,認定こども園の現場保育者を対象に評価の試験的実施を行う。試作した評価ツールは現場保育者向きのものとなったため,保育者養成校学生対象のツールについても試作し,4年制大学,短期大学の学生を対象として試験的評価を実施する。いずれの対象についても,直接依頼し承認を得た園・校の実情に合わせ,紙もしくはWebによる回答を依頼する。回収は返送もしくはWeb上で行う。調査の趣旨説明は,園・校の教職員に依頼する。評価の試験的実施結果から,規準,項目の妥当性を検討する。研究成果をまとめ,食育の実践的指導力評価指標及び活用方法を提案する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,2021年度に計画していた,試作した評価ツールの有効性を確かめるための,現場保育者および保育者養成校学生を対象にした評価の試験的実施を,次年度に実施する。そのために2021年度に使用する予定であった,物品費,通信費を次年度使用する。また,研究成果のまとめを発表するため、印刷費、会費、英訳校正委託費などに使用する。
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