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2017 Fiscal Year Annual Research Report

自律性を育成する道徳教育―「議論する道徳科」と社会統合の視点

Research Project

Project/Area Number 16K04787
Research InstitutionBaika Women's University

Principal Investigator

佃 繁  梅花女子大学, 食文化学部食文化学科, 教授 (90513721)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords議論する道徳科授業 / 個の自律 / 社会統合 / 階層間格差
Outline of Annual Research Achievements

当初計画していた小学校での協働研究は小学校の事情と私の個人的事情により実施することができなくなった。そのため議論する道徳科授業の基礎となる理論研究を行った。
明治の教育制度において西欧近代思想に基づく道徳理念が輸入されたものの、そこには我が国の歴史的独自性がある。国家主導による近代化推進を目的として道徳教育を国民統一の手段に用いたこと、近世以降の伝統的共同体規範が政治、経済、家庭や地域社会といった領域において今なお機能していることなどから「議論する道徳授業」の社会的基盤は乏しい。
「議論する道徳科授業」の推進が、経済のグローバリズム、産業資本主義から認知資本主義への変化といった世界情勢に対応可能な人材育成を目的とした国家的要請であることは否定できない。その結果認知能力の高い一部の児童生徒のみ活躍し、家庭文化の階層間格差を反映して今まで以上に道徳授業への忌避感が増大する危険性がある。
その一方で非認知能力としての道徳性が学力達成とライフコースの格差是正をもたらす可能性もある。就学前から高等学校までの道徳性発達を系統的、計画的に指導することによって教育の機会均等を下支えすることが可能である。それは国家と家庭教育の独自性に整合性をもたらす教育政策であり、個の自律性と多文化を前提とした社会統合を可能にするものである。その意味で「議論する道徳科授業」を実施することそのものが、社会的連帯を拡大し続けるための政治実践である。
今後の課題は「議論する道徳科授業」について教育内容と方法を具体的に研究開発することにある。公立の義務教育段階の小・中学校は広く地域の児童生徒を対象としており、多様な家庭文化を背景に教育が実施される。異なることを承認可能とする個の自律性を育成し、集団の共通性を新たに編み直す道徳教育を実践するための絶好の場であると考える。

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Published: 2018-12-17  

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