2017 Fiscal Year Research-status Report
「素話」と造形表現活動を組み合わせた保育活動に関する実証的研究
Project/Area Number |
16K04797
|
Research Institution | Tokiwakai Junior College |
Principal Investigator |
高橋 一夫 常磐会短期大学, その他部局等, 准教授 (10584170)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糠野 亜紀 常磐会短期大学, その他部局等, 准教授 (60342268)
平野 真紀 常磐会短期大学, その他部局等, 教授 (70342201)
白波瀬 達也 常磐会短期大学, その他部局等, 准教授 (90512385)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 素話 / 言語表現 / 土粘土 / 造形表現 / 協働活動 / コミュニケーション / 幼児 / 保育現場 |
Outline of Annual Research Achievements |
質の高い保育・乳幼児教育が求められるなかで、保育者の努力や負担に見合った保育活動でありながら、同時に子ども達の成長にとっても最良の効果が期待できる保育活動を早急に構築する必要がある。本研究はそのような社会的な要請に基づいて、子ども達に豊かな想像力を養うことができる言語表現活動である「素話」と、子ども達の指先を中心とした触覚を刺激し、創造力を養うことができる粘土の造形表現活動を組み合わせた保育活動を提案した。そして、本研究の目的は、提案した保育活動の効果測定をおこなうことにある。 2年目に実施した研究では、粘土の造形表現活動に使用する粘土材を油粘土から土粘土へと変更し、子ども達の協働活動に注目した。 特筆できる2年目の研究実績としては、「素話」から土粘土を使用した造形表現活動に繋ぐ保育活動では、子ども達同士の協働活動を誘発できることが明らかになった点である。1年目の研究で使用した油粘土では、どちらかといえば子ども達が個々で造形表現活動を楽しむ姿が確認できた。その理由として、油粘土の特性として、大量に使用すると硬さが際立つことから、少量で楽しむ個人的な造形表現活動により適している保育材だと指摘することができる。 一方で、土粘土を使用した場合は子ども達同士の協働活動が誘発され、ペアやグループで「素話」の内容を想像した粘土作品を造形しようとすることが分かった。それは、土粘土の柔らかさから子ども一人当たり2㎏程度の使用が十分にできることと、子ども達にとって満足できる粘土量が使えるため、ダイナミックな造形をしたいと思わせることが背景にあると考えられる。したがって、土粘土を使用した我々の提案した保育活動は、子ども達同士の協働活動を誘発でき、造形活動を通してコミュニケーションの深化が期待できる保育活動であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況において、「おおむね順調に進展している」とした理由は、研究実績の概要にも記した通り、2年目の研究実績として、土粘土を使用した「素話」と粘土の造形表現活動を組み合わせた保育活動案を実際の保育現場で実践し、その効果について分析をすることができたからである。 また、その分析結果において、油粘土を使用した保育活動とは異なる子ども達の様子が確認でき、特に子ども達の協働活動が誘発される保育活動案として機能することが明らかになったことも大きな研究の成果であるといえる。 3年目は本研究課題の最終年度となるため、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って、これまでの研究の総括をおこなう予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進捗方策としては、交付申請書に記載した研究実施計画通りに、最終年度としてこれまでの研究成果を総括できる研究と分析をおこなうことである。また、現時点で予定通りに研究が進捗しているため、研究計画の変更などは想定していない。 「素話」から粘土の造形表現活動に繋ぐ保育活動案が、子ども達の創造力や想像力、そしてコミュニケーション力などをどのように刺激するのかについて詳細に分析し、実際の保育現場での実践において保育者と子どもにとってどのような利点があるかについて明確に整理する予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度も研究計画書に示した通り、研究成果を国際学会である環太平洋乳幼児教育学会(PECERA)において発表をおこなう予定であった。そこで、2件の研究発表について申請をおこなった結果、大会事務局から2件ともにアクセプトされた。アクセプトを受け、2017年7月のPECERA(開催地:フィリピン)の研究発表に向けて、渡航のための航空券の取得などの準備を進めていた。 ところが、直前に開催地直近地域においてISによるテロの脅威が非常に高まったことと、大きな地震が起きたとの報道があったため、所属する短期大学との協議の結果、渡航を中止した。 以上の理由から、海外での研究成果の発表ができなくなったため、当該助成金における次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金は、研究計画書に示した通り、国際学会での発表と研究成果を総括するために使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)