2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K04800
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Research Institution | Osaka Prefecture University College of Technology |
Principal Investigator |
湯城 吉信 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90230614)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 『滑稽叢話』 / 辛亥革命 / アヘン / 纏足 / 台湾割譲 / 保皇党 / 辮髪 |
Outline of Annual Research Achievements |
漢文教材の発掘のための調査を行った。国内においては、大阪大学附属図書館、大阪府立中之島図書館、国会図書館などにおいて調査を行った。国外においては、中国国家図書館において資料調査を行った(『擬怕婆經』、『書経串釈』、『新出民国笑話談』など)。中国国家図書館においては、登録を行い、日本国内においてもコンピュータである程度の資料閲覧が行える環境を整えた。 成果の一部は、湯城吉信「『滑稽叢話』に見る辛亥革命前後の中国」(『懐徳』85号、pp.60-71、2017年1月)として発表した。要旨は以下のようである。 大阪大学懐徳堂文庫には、いわゆる懐徳堂関係資料以外に、明治、大正期に収集された書物が多く所蔵されている。それらの中には、中国の同時代資料も見える。これらの資料も、懐徳堂文庫の魅力の一つである。本稿では、その一例として『滑稽叢話』という書物を紹介した。『滑稽叢話』は辛亥革命の年(一九一一年)に上海で出版された小咄集である。いわゆる通俗的な本なので、調査したところ大学図書館などでは普通所蔵されていない。ただ、通俗的である故に当時の社会情勢を如実に反映している。本稿では、官吏の腐敗、アヘンの悲劇、台湾割譲、留学生の様子、保皇党と革命党、未来の予測、辮髪、学制改革に関する記述を紹介した。変革を余儀なくされる中、人々がその変化に対応しきれなかった様子も窺える。また、通俗的とは言っても作者は文人であり、新しい事物を描写する際にも中国古典に束縛されているあたり、中国の文人の性を見ることができる。『滑稽叢話』は、当時の社会の様子を知る上でも、中国文化の特質を知る上でも、貴重な資料であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集は、国内、国外ともに実地調査を行い順調に進行している。また、一部ではあるが、収集した資料を基に論考をまとめることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、新しい漢文教材の発掘のための調査を行う。国内においては内閣文庫、国会図書館、大阪大学、大阪府立中之島図書館、国外においては、中国国家図書館などの資料収集を行う。また、収集した資料を教材化する方法についても考察し、論考にまとめたい。
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Causes of Carryover |
資料購入が選定に手間取り次年度に持ち越すものが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料購入および複写費用に充てる。
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