2016 Fiscal Year Research-status Report
集団活動を通した不登校防止の取組に専門家の指導をいかす学校体制のあり方
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16K04801
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
中野 澄 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 総括研究官 (70741940)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不登校 / 専門家の活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)調査の状況 事前調査(中1~中2不登校生徒数調査)…11府県11市教育委員会所管115中学校に対し、27年度の中1~中2不登校生徒数を調査した。その中から、学校規模、地域性、専門家の配置・派遣状況を勘案して39中学校を抽出し研究対象とした。①ヒアリング調査…研究対象校数が当初予定よりも多くなったため、市教育委員会より研究対象中学校の状況について聞き取った上で9中学校を訪問先に選定し、訪問時に管理職や生徒指導主事、専門家へのヒアリングを行った。②学年調査…115中学校の各学年に対して年3回(7・12・3月)実施した。具体的には、学期ごとに基準とした欠席日数(4~7月は10日以上、4~12月は20日以上、4~3月は30日以上)を上回った生徒のうち、「前年度も不登校であった生徒数」と「前年度は不登校でなかった生徒数」を調べた。③個別調査…39中学校の全学年で、年3回(7・12・3月)実施した。具体的には、学期ごとに基準とした欠席日数(②参照)を上回った全生徒の欠席日数、担任以外の教員の関与状況、専門家や関係機関との連携状況を調べた。④海外調査…アメリカ合衆国ニューヨーク州にある中学校と高校を訪問し、管理職及び専門家から生徒指導及び進路指導に関する専門家の役割を事例も含めて聞き取った。 (2)研究体制づくり ⑤調査委員会…11市教育委員会指導主事を委員とする調査委員会を設置。上記調査②③についてデータ提供を受けるとともに、まとめたデータを交流し、専門家の活用のあり方について、年2回協議した。⑥分析検討会議…当初は管理職や専門家が一堂に会した会議の設置を試みたが、日程が合わず、個別や小集団での実施となった。上記①の結果や②③調査のデータ分析、上記⑤での意見を踏まえ、今後の研究のあり方について協議や確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)調査について 本調査研究に必要なのは、一定基準以上欠席した生徒の学期ごとの欠席日数や専門家の対応状況の追跡である。そうした内容については、当初予定よりも多くのデータを収集することができている。 (2)研究体制について 調査委員会は、予定では年1回であったが、さらにもう1回行うことで協議を深めることができた。分析検討会議については、当初は年1回を予定していたが、日程の調整がつかず委員と考えていた人が一堂に会する会議は開催できなかった。次善策として、日程に都合がついた管理職や専門家と小集団で協議を行ったり、個別に意見聴取を行う等の手立てをとった。結果としては、期間を限定せず、時々の疑問や確認点について、広範囲の関係者からの意見聴取ができ、研究内容に反映することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度については、当初の予定どおり、28年度と同じ調査を行いながら、調査委員会でデータ等の情報収集を行い、ヒアリング調査で不登校の未然防止に関する専門家の関与のあり方について実態把握を進めたい。ただし、分析検討会議については、28年度のとおり、年1回と限定せず、様々な管理職や専門家に意見を聞き、さらに研究を深める形に改めたい。 30年度についても、当初の予定どおり、調査と総括会議を実施し、研究成果を報告書にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた年1回の分析検討会議が、関係者の都合が合わず、一堂に会した形で開催できなかった。こちらから訪問したり、小集団での会議を行ったりした関係で、28年度の委員等に支給するべき旅費と謝金等が、当初の計画通りの支出とはならなかった。 また、「データの突き合わせ作業」や「不登校生徒調査調査票印刷等」については、綿密で無駄の少ない計画を立てることで効率化を図り、当初の予定額よりも少ない額に抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度も予定していた調査研究は予定通り行うため大きな計画の変更はない。 ただし、年1回予定していた分析検討会議については、28年度から繰り越しとなった使用額も活用し柔軟な会議に改めることで、ヒアリング調査の結果や収集したデータに関する分析の充実を図りたい。具体的な変更点としては、必ずしも全員参加の会議を前提とせず、研究対象校及び関係市教育委員会等訪問時を活用して個別に分析検討の場を設けたり、委員数人が会しての会議を複数回実施する等、関係者の都合や時期を勘案しながら臨機応変な体制で臨む。
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