2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ideal way of the school system which makes use of the guidance of an expert for the approach of school refusal prevention through group activity
Project/Area Number |
16K04801
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
中野 澄 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 総括研究官 (70741940)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不登校 / 専門家の活用 / 新規群抑制 / 集団指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は19府県33市町教育委員会の協力を得て80中学校で個別調査を行い、33市町教育委員会及び46中学校関係者へのヒアリング調査を行った。29年度は17府県23市80中学校への個別調査と23中学校関係者へのヒアリング調査を行った。これら調査から明らかになったことは、教員と専門家の視点の違いである。教員は常に集団全体に意識を置きながら個別支援の必要な生徒を抽出するのに対して、専門家は個別支援の必要な生徒の視点から集団全体の動きを見つめる。この両者の視点は協働すれば、状況に応じた不登校の取組を総合的に推進することが可能となる。 専門家の活用については、現状では「前年度不登校であった生徒」への対応が優先され、次に「当該年度に新たに不登校となった生徒」への対応が続いている。これは、専門家が「集団指導」や「不登校の防止」に関われていない状況の表れともいえる。 こうした分析結果から、新たな不登校生徒を抑制する取組と、特定の生徒へのきめ細やかな支援の順番性を以下の通りまとめた。 ①新たな不登校生徒の出現を抑制するには、「集団指導」(魅力ある授業づくりや自治活動等の推進)を点検・見直す必要がある。②その一方で欠席が目立ち始めた生徒への個別支援の充実も状況の重篤化及び二次被害を抑制するために必要である。③専門家(SC、SSW)の活用は、現時点でも不登校生徒の30%以下にしか対応できていない状況を踏まえると、引き続き不登校生徒への支援を進めながら、上記①よりも②に集中することが現実的である。 この①~③に基づき不登校対策を総合的に進めるためには「2つの組織」が必要となる。一つは、教務主任・生徒会担当教員を中心とした「集団指導」に関する組織(上記①に対応)、もう一つは、不登校担当教員を中心とした「個別指導」に関する情報収集・専門家の関与の決定を円滑に行う組織(上記②③に対応)である。
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