2018 Fiscal Year Annual Research Report
Assessment of sexual behaviors in autism spectrum disorders
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16K04804
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
萩原 拓 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00431388)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、高機能自閉症スペクトラム障害(HFASD)当事者の性行動に関わる適応行動について、当事者およびその家族の生活状況をケースとして調査した。また、支援者など、第三者視点による「見た目」についても調査した。これは、性行動の評価は当事者が関わる環境、特に他者が見た判断に大きく影響を受けることが考えられるからである。これまでの調査結果を総合的に分析すると、HFASD当事者の性行動に関わる特性を尺度評価することは現時点で難しい結論に達した。第一に、HFASD当事者およびその家族、または支援者などの第三者による当事者自身の性行動への気づきが低いことにある。一般的にも、性に関することをオープンに話したり、課題として検討したりすることは日本において少ないことは指摘されているが、HFASD当事者においてはさらに少ない。第二に、調査結果によれば他者評価におけるHFASDの性行動課題は、それほど顕著に指摘されていなかった。これは、当事者の性行動課題は顕著に発生していない、または見えにくい双方の解釈が可能である。第三に、性犯罪につながったケースには、日常生活おいて性行動の問題につながるような気づきがないものが少なくない。これは、対人関係の悪化や性犯罪につながるような問題が発生してから、初めて性行動の問題が顕在化することを意味している。このことから、調査結果を踏まえて、HFASD当事者の家族や支援者などが比較的気づきやすい適応行動課題で性的問題につながりやすいものをチェックリスト化し、その結果に応じて支援の示唆が得られるパッケージを作成した。性行動問題をレベルで示すことは、当事者やその家族にネガティブな影響を与える可能性があるため、性行動問題の有無を明確にすることに主眼を置かず、より環境に適したふるまいへ導く示唆や、代替的措置を中心とした支援案を得られるものとした。
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Research Products
(1 results)