2016 Fiscal Year Research-status Report
吃音が改善した成人の語りから改善・悪化要因を検証および早期改善プログラムの開発
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16K04807
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
池田 泰子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (90387514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 慧 筑波大学, 人間系, 准教授 (20735394)
芳川 玲子 東海大学, 文学部, 教授 (80312867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 吃音 / 話し方の意図的な工夫 / 無意識で自然な発話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、吃音発生予防、悪化防止、早期改善を促すための具体的な接し方などを体系化することを目的としている。今年度は、吃音が改善しつつある3名の成人吃音者が過去の訓練場面において吃音があることによる苦しみ、吃音の改善過程、改善に影響している要因などについて語っている録画DVDを文字に起し、検証を行った。 1.「吃音があっても気にせず話した方がよいと思う反面、吃音があることで他者とコミュニケーションを回避する場面が増え、辛かった」「話し方の意図的な工夫をすることでいつも自分の発話状態を監視してしまい、落ち込んだ」「話し方の意図的工夫を止めることで、自然で無意識な発話が増え、吃音症状が軽減した」「話し方の意図的工夫を止めたことで、吃音症状ではなく話の内容に集中できるようになった」「話し方の意図的工夫を止めたことで気持ちが楽になった」ことが共通であった。本結果は関連する5つの学会にて発表を行った。本情報を踏まえて、吃音発症の予防、改善を促進する要因、悪化を防止する要因などを把握するために、次年度実施予定である改善しつつある吃音者を対象に行うインタビューの項目を作成した。 2.現在使用している吃音の状態を包括的に把握するチェックリストは、具体的で現実的なチェックリストではあるが、汎用性が低く一定の視点を継続的に経過観察できるものではないことが判明した。今までに使用していたチェックリストは、訓練・指導のアセスメント情報として活用し、包括的なチェックリストを新たに作成することとした。今年度は項目の検討を行った。 3.話し方の意図的工夫を促すことは吃音の悪化要因となることがわかり、吃音を悪化させない大人の接し方に関するチラシの作成のための準備を行った。今年度は子どもの吃音の訓練・指導経験のある言語聴覚士4名に研究協力の承諾を得て、チラシの構成について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画に掲げた内容は全て達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.前年度の調査で得られた情報を基に、吃音が改善しつつある成人吃音者を対象(6名前後)に幼児期、児童期、成人期に分けて、悪化要因、改善要因に関する具体的なエピソードなどについてインタビューを実施する 2.昨年度の調査結果と上記1から得られた結果を踏まえて、吃音発症の予防、改善に役立つリーフレットの構成を検討する 3.吃音を悪化させない大人の接し方に関するチラシを作成する 4.吃音の状態を包括的かつ継続的に把握できる評価尺度を作成する
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Causes of Carryover |
訓練場面の成人吃音者の語りについてビデオ起こしを担当してくれた方が年度途中で担当できない時期が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度分の未実施分のビデオ起こしを29年度に実施するために謝金として使用する。
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Research Products
(6 results)