2016 Fiscal Year Research-status Report
発達障害を重複する吃音の子どもの実態‐発達的変化の追跡調査‐
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16K04812
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮本 昌子 筑波大学, 人間系, 准教授 (70412327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 宏明 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50334024)
酒井 奈緒美 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 感覚機能系障害研究部, 研究員 (60415362)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 吃音 / 発達障害 / 発達的変化 / 重複障害 / 言語発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,発達障害を重複する吃音の子どもの実態を明らかにし,発達的変化の追跡を調査を行う。1年目には,第42回コミュニケーション学会分科会(吃音・流暢性障害),日本特殊教育学会第54回大会自主シンポジウムで発達障害を重複する吃音に関する論文のレビュー,教育現場・医療現場での実践例を報告した。これらの報告,議論により,吃音を主訴とする子どもを対象とする臨床現場では,一定数の発達障害を重複する者が存在し,その評価・支援方法は,重複のない吃音の例とは異なるのではないか,という結論を得た。また,発達障害を重複する場合,学校教育現場では発話の問題よりも行動や情緒の問題が重視され,発話の問題に焦点があてられにくい現状についても議論された。 また,本研究グループに,有識者を加えた症例検討会で,発達障害を重複する吃音の3例が報告され,知能・言語・発話・運動等幅広い範囲のアセスメントが必要であること,言語発達に伴い,吃音が改善するサブグループがあること,クラタリングとの鑑別が困難である場合があること等,今後さらに検討するべき課題があることが確認された。また,症例検討の結果,発達障害の重複のない児童とある児童では,吃音の発話症状も異なることが確認された。海外の先行研究では既に報告されていることではあるが,日本語話者での症状についても,今後確認が必要であることが分かった。今回発表された各症例(小学校低学年,高学年,成人)については,今後も追跡し,発達的変化を追跡する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,地域の保健センターにて調査を行う予定であったが,健診の場でのリクルートが困難であり,研究代表者,分担者の3名が指導の担当をしている幼児,学齢児,成人での検討から開始することにした。その結果,症例数も予定通りに確保できたことから,これらのケースに対して追跡調査を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った,発達障害を重複する吃音の症例に関する追跡的観察を今後も行うことにする。吃音,発達障害の特徴は発達と共に変化する可能性がある。特に,言語発達が高まると共に,吃音の問題が解決するタイプ,あるいは学年を追うごとに吃音の問題が解決しても,学習の問題が残るタイプ等,様々な分類が想定される。吃音の問題と重複しやすい問題とその予後について観察したい。 また,平成29年には,小学校内言語障害通級指導教室に通う吃音が主訴の児童が,発達障害を併せ持つ割合を明らかにすることを目的とし,研究を行う。発達障害の診断を受けていないが,兆候がある児童も多いことが予想される。よって,文科省による「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査(2004)」の調査項目を使用し,吃音の他に問題を有するかどうかについて,検討をする予定である。 平成30年には,通常学級の中に吃音の児童が存在する割合,発達障害のある吃音の児童が存在する割合を明らかにすることを目的とし,研究を行う。その際,通常学級の教員を対象に,上記の調査を行う予定である。さらに,発達障害を重複する吃音の中にはクラタリングが疑われる者が存在することも推測される。調査で,発達障害を重複する吃音であると同定された者の中に,クラタリングの疑われる者がどれくらい存在するかについても,明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
本年度で行う予定であった保健センターでの調査をとりやめたため,使用額が一部減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
保健センターで行う予定であった調査の代わりに小学校言語障害通級指導教室,通常学級での追加調査を実施するために使用する。 研究計画を再検討し,保健センターで実施する予定だった幼児期での吃音と発達障害の諸特徴の変化の追跡は,研究代表者,分担者が教育相談等で担当しているケースを対象に行うため,ビデオカメラ,動画保存用HDD等の機器の購入を行う(平成28~30年)。さらに,学齢期以降においては,上記の追加調査を行うことで,吃音と発達障害が重複する児童の実態把握を行い(平成29年度に小学校内言語障害通級指導教室,平成30年度に小学校通常学級で実施する予定),そのための調査用紙印刷代,郵送代を計上し,使用する予定である。両調査で,発達障害と吃音の重複が認められた児童にクラタリングチェックリストを実施する予定である。そのための印刷代と郵送代も計上し,使用する計画である。
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Research Products
(8 results)