2018 Fiscal Year Annual Research Report
Historiograhy of educational movemnet for children with disabilities in postwar Japan focusing on compulsory education for all children with disabilities in Tokyo
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16K04823
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河合 隆平 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (40422654)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 養護学校義務制 / 重症心身障害児 / 高度成長期 / 教育と生存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究最終年度である本年度は、史料調査を継続しつつ、論文化の作業を行った。 1)東京都障害児学校教職員組合の「障害児教育研究集会」が提起した教育実践・理論の内容および水準を、養護学校義務制実施過程に位置づける作業を行うために、日教組全国教研障害児教育分科会ならびに日教組教育制度検討委員会に関する史料の調査・収集を行った。 2)重症心身障害児に焦点を当て、障害児の「生存」要求を「教育」の論理で組み替えながら「学校」の機能と基盤を拡張させる様態を「重症児の学校」の展開としておさえ、重症児の発達と生活の現実に即して近代学校の体系を相対化し、重症児教育を構成する理論と実践が組み立てられていく過程を検討し、義務制実施期に作り出された養護学校における教育の内実を明らかにした(「重症心身障害児の「学校」をつくるー教育と生存の場としての学校―」『教育学研究』85-4,2018)。 3)戦後社会における障害児教育問題の歴史認識を検証する作業にも着手した。従来のように「運動と抵抗の主体」のみに焦点を当てるのではなく、障害のある人びとの社会的諸関係とその矛盾の動態をおさえながら、障害のある人びととその家族の要求や生活経験、教育・福祉実践に即して発達保障の仕組みがつくられていく過程を叙述した(『発達保障の道-歴史をつなぐ、社会をつくる』2018)。 4)1960年代から70年代の高度成長期の日本社会を、障害のある人びとの権利の要求実現・獲得という側面から平板に描くのではなく、権利の要求として表現される以前の、人びとの生活や実践の相とそこでの矛盾を捉えることを歴史認識の課題として提起した(「発達保障論における社会形成の原理とその論点」『発達保障論の到達と論点』2018)。
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[Book] 発達保障論の到達と論点2018
Author(s)
荒川智,河原紀子,白石正久,木全和巳,越野和之,丸山啓史,河合隆平
Total Pages
268
Publisher
全国障害者問題研究会出版部
ISBN
4881347357