2016 Fiscal Year Research-status Report
発達障害学生の移行支援に関わるセルフ・アドボカシー・スキル教育の実証研究
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16K04831
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小川 勤 山口大学, 大学教育機構, 教授 (60448272)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 移行支援 / セルフ・アドボカシー・スキル / 定期面談 / 自己理解 / 仕事理解 / 相談会 / 学内インターンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は発達障害学生がその障害特性から就労に関して多くの困難を抱えているという事実から,大学から社会へ移行する間の支援プロセスに着目し,発達障害学生自らが「自分の障害特性を理解し,他者に説明し,自分が必要とする支援を他者に求めていく行動を起こせる力」,すなわち,セルフ・アドボカシー・スキル(SAS)の獲得およびその際の支援者の支援方法について実証的な研究を行うことを目的としている。 平成28年度は、研究期間の初年度として「自己理解力育成のための支援」を中心に実践研究を行った。このために,学生特別支援室(SSR)や就職支援室における日々の支援活動の中で特に「定期面談」や「相談会」を中心に,学生と困難を共有し問題を整理した上で,具体的支援・対処を一緒に考え,困難を改善するということを実践した。また,ある程度自己理解が進んだら,実際に,障害やニーズを他者に説明するという機会を提供するため、発達障害学生自らが授業担当者等に対して自分の障害特性を説明するなどの取組を実践した。これらの一連の取組の成果と課題については,口頭発表や論文発表を行うことができた。また,これらの研究成果を活かして、次年度は仕事理解力育成に関する研究に取り組む予定であり、そのための基礎的情報の収集等にも取り組むことができた。具体的には就職支援室と共同して「学内インターンシップ」を試行的に実践し,実施前の事前指導やサポートする組織(派遣先組織)との連携・協力の在り方等について、ある程度ノウハウを獲得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度においては、当初の研究計画どおり,「自己理解力の育成」のために「定期面談」や「相談会」を計画通り実施できた。また,「学内インターンシップ」等を着実に実行することができ、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、当初の研究計画に従い、発達障害学生自らが自分の障害特性を理解し,他者に説明し,自分が必要とする支援を他者に求めていく行動を起こせる力,すなわち,「セルフ・アドボカシー・スキル(SAS)」の獲得や,その際の支援者の支援方法の確立を目指して、自己理解力や仕事理解力の育成を基礎とするSAS獲得のための教育プログラムを開発するために基礎的・実践的データの収集等を行う予定である。国内外の学会等での研究成果の発表および関係者からの専門的な指導助言を踏まえながら、研究の深化を図る予定である。
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Causes of Carryover |
国内の学会等での研究発表および海外調査出張を1回(アジア・タイ)実施したが、当初の予算額より実際の使用額が少なかった。また、28年度は人件費・謝金として資料整理(1人×20日)および指導助言(1人×2時間)の使用を予定したが使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は国内の学会等での口頭発表や海外調査としてアジア(タイ)とともに欧州等での実地調査を考えているため、これらの経費として使用する予定である。
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