2017 Fiscal Year Research-status Report
特別支援教育支援員配置によるインクルーシブ教育推進成果評価尺度の標準化
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16K04838
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田中 敦士 琉球大学, 教育学部, 准教授 (40347125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥住 秀之 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70280774)
韓 昌完 琉球大学, 教育学部, 教授 (90599622)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 特別支援教育支援員 / IE-SAT / インクルーシブ教育 / 評価尺度 / 質問紙調査 / 共分散構造分析 / 教育委員会 / 科学的根拠 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、初年度に沖縄県内のすべての幼稚園、小学校、中学校、高等学校に実施した「特別支援教育支援員配置によるインクルーシブ教育推進成果評価尺度(Inclusive Education Support Assessment Tool;IE-SAT)」の信頼性と妥当性の検証を行い、共分散構造分析により有効なモデルが構築された。 次に、全国の特別支援教育支援員の実態調査を郵送法により実施した。対象自治体は、まず市町村教育委員会が設置されている全国1718市町村(平成29年5月1日現在)から10%無作為抽出を行い、172市町村とした。都道府県教育委員会については全数の47都道府県とした。合計219自治体を対象とした。計画時においては、全国1819市町村(平成25年5月1日現在:教育行政調査)の5-10%を予定していたが、市町村合併等により市町村数が減ったため、抽出率は計画時の最大値である10%を採用した。 調査対象者(調査票記入者)は、市町村教育委員会については幼稚園、小学校、中学校の特別支援教育支援員の配置事業担当者(実務担当者)を、都道府県教育委員会については高等学校の特別支援教育支援員の配置事業担当者(実務担当者)を対象とした。 調査内容(調査項目)としては、①教育委員会が管轄する学校について(学校種別ごとの学校数、幼児・児童・生徒数、特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒数、診断を受けた幼児・児童・生徒数、特別支援教育支援員の人数)、②特別支援教育支援員の採用について(条件、待遇、必要人数の確保状況)、③特別支援教育支援員の専門性向上について(研修、手引き、マニュアルの作成などの状況)、④特別支援教育支援員の配置効果について(主観的評価、客観的評価の状況、IE-SATの科学的検証への参加希望)、⑤特別支援教育支援員の制度等に関する要望について(自由記述)、とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時においては、調査対象とする市町村教育委員会について、全国1819市町村(平成25年5月1日現在:教育行政調査)の5-10%を予定していたが、市町村合併等により市町村数が減ったため、抽出率は計画時の最大値である10%を採用できた。都道府県教育委員会については、計画通り全数の47都道府県とできた。 市町村、都道府県ともに行政が調査対象ということもあり、平成29年度の実績ベースで回答してもらう必要があることから、調査時期は当初計画通りではあるが平成30年2月~3月となった。そのため、年度を超えても回答が続々と寄せられており、現時点ではまだ締め切りとしていない。 分析等は現時点で作業中であるものの、最終年度の調査研究は調査協力自治体が想定通りにあれば予定通り実施可能な状況であり、おおむね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度については、「特別支援教育支援員配置によるインクルーシブ教育推進成果評価尺度(Inclusive Education Support Assessment Tool;IE-SAT)」の標準化への協力自治体に応募した市町村・都道府県担当者に対し、訪問説明し同意を得た上で、当該都道府県内の公立学校にIE-SATを実施する。多数の応募があった場合には、10自治体または対象の公立学校累計が500校を超えた時点で打ち切りとする。標準化への協力に応募した自治体のメリットは、配置効果に係るデータ入力、分析、報告をすべて大学側で行い、詳細な報告書が提供されることである。以上により、IE-SATを標準化し、ホームページ等で無料公開し、全国への普及を図る予定である。 平成29年度の全国教育委員会調査の分析の結果において、IE-SAT標準化への協力自治体が万一見られなかった場合には、この特別支援教育分野における科学的根拠に基づいた教育政策の必要性の認識が不十分であることも意味するものと考え、教育委員会などの行政関係者や教育専門家が集まる学術集会や各種研修などにおいて、一層の啓蒙活動を行うとともに、関係者や関係機関への訪問調査を行うことで、次期課題の展開につなげていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
調査票の印刷および調査データの入力作業について、専門業者へ委託する想定であったが、前者については大学の備品を用いて実施することができ、後者については学生の雇い上げ謝金として大幅に節約できたため残額が生じた。一方、分析用のパソコンが年度末に予期せず故障してしまったため、次年度は残額をパソコンの購入費にも充当したい。
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Research Products
(1 results)