2016 Fiscal Year Research-status Report
発達性dyslexiaのある中学生の英語指導の実践的研究
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16K04845
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石坂 郁代 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70333515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 若菜 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (50448958)
黒澤 麻美 北里大学, 一般教育部, 講師 (60406890)
水戸 陽子 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (70721984)
村上 健 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90781906)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発達性dyslexia / 英語学習 / 英語指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度であるため,基礎的データ収集を行った。発達性dyslexia児において実際の英語指導の場で得られた起きやすい誤りは以下の通りであった。 1.音読の場合 ①視覚的な文字認識の問題(b, d, g, p, q ,hとn,M とWなど) ②語音認知の問題(areとaを聞き分けることができない)③音と文字の一致のルール学習の問題(thisとthatを読み間違える)などであることが明らかになった。これらは,彼らが元来持っている日本語における発達性dyslexiaの特徴と類似している。 2.書字の場合 ①視覚的な文字認識・記憶の問題(bとd)②ローマ字の影響による問題(4月:aiplil)③日本語との音の違いの問題(花:frawer,rとlの混同),④不規則綴りの学習の問題(時計:wach)などであった。これらの誤りは日本語の書字に見られる誤りと類似している問題(①)と,第2外国語を学ぶ特殊な状況で生じている問題(②,③,④)があった。 いずれの場合も,「英語が苦手」と訴えてクリニックを受診する場合は,文レベルの読み書きは難しい場合が多く,単語レベルでの分析から症状を捉える必要があることが明らかになった。 加えて,クリニックを受診する英語の苦手さを訴える生徒のデータを10例収集したが,分析は今後行っていく。 その他,一般の大学生の中1~中2レベルの英語の名詞・動詞の書字データも収集した。その結果,上記の発達性dyslexiaに見られる誤りはごくわずかであった。つまり,上記の誤りを早期に発見することは,英語の苦手さのある生徒の早期発見・早期支援につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は現場の教員からの情報収集,事例の収集,健常成人のデータ収集など,基礎データの収集ができたため,おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては,データの収集は引き続き行っていく予定である。また,すでに収集した10事例の英語の症状と日本語の症状を関連付けて分析し,それぞれの事例における日本語の指導案を立てた上で,英語指導に応用する方法論を検討していく。 また,実際の指導場面において,英語のphonicsの教材を使用した指導を行う事例を追跡していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は予定していた福井市のクリニックにおける情報収集・事例収集等が,先方の事情により延期となったため,その旅費等を使用しなかった。しかしそのために研究に支障が生じることはなく,近隣のクリニックにおいて同等の研究を行うことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は,早期より計画的な使用を心掛け,研究に支障がないように勧めて行く予定である。
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Research Products
(10 results)