2016 Fiscal Year Research-status Report
障がいをもつ乳幼児の食べ方と発達を理解した指導・評価プログラム開発
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16K04850
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
中嶋 理香 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 教授 (50461116)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 食べる機能の発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害を持つ乳幼児の食に関する包括的予防的なプログラム作成に際し,現状把握を目的に愛知県下の特別支援学校小学部,保育園・幼稚園・子ども園・発達支援センターに対し,1)外部専門家の利用2)食事指導環境3)教員の教育環境を調査した.平成28年度は特別支援学校小学部の結果を分析した.特別支援学校へは調査票を2部送付した.【結果】回収率87% 回答者54名(管理職18人,主任11人,担任16人,栄養/食育担当7人,その他2人).管理職の回答を資料とした.生徒の障害は知的障害のみ28%,重症心身障害22%,発達障害+知的障害17%で,このうち摂食嚥下機能支援は25%で実施していた.教員(管理職)は,誤嚥に対する不安(72%),食事に関する困り感(55%)を持っていた.相談を受けた経験は全体の77%であった.この状況で1)生徒個人に対する教員主導の指導は11.1%,平均88%で外部専門家(ST/PT/OT,歯科医師/歯科衛生士,小児科/栄養士)からの助言を受ける機会はない.2)食指導環境は,給食の形態が統一(31%),食具を共有(37%),椅子・机を共有(38%)と30~40%で共有していた.一方で,個人に対して柔軟な対応も(手元加工・弁当などの持ち込み:88%)可能であった. 3)教員は,生徒の食事に関心があり(61%),その中で公費等にて講習会参加できる環境にいるのは50%であった.過去2年に学内研修を実施した割合は39%であった.【考察】学校は集団生活の場であり,医療現場と異なる目的や目標が設定される.摂食嚥下指導の危険性や重要性,教員が抱く困り感,不安を考慮すると外部専門家の利用は少ない.米国では他職種チームで教育現場の状況に即した摂食嚥下指導を実施し(Homer,2016),支援システムが根付き始めている.障害種別の愛知県・特別支援学校の現状をふまえたシステム構築が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は,実態把握のアンケートを実施することであった.アンケートは,12月を目途に実態を把握するアンケート調査内容の作成・アンケートの実施,アンケートの集計を実施した.平成29年1月~3月で分析する予定であったが,この分析は,特別支援学校のみにとどまった.公立保育園・公立幼稚園・公立子ども園・療育施設等へのアンケート調査の分析が終了していない.これは,特別支援学校の分析結果を踏まえて,一般保育園等の分析を実施する予定だったことから生じた遅延である. 特別支援学校の結果は,平成29年の日本摂食嚥下リハビリテーション学会で報告予定.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,公立保育園,公立幼稚園・公立子ども園等の分析と,平成28年度の結果を基に,食べ方の発達理解を促進するための「子どもの食べ方チェックリスト」を作成する.チェックリストの内容は,本年度実施したアンケート項目から乳幼児の食べ方で①口腔運動領域②姿勢運動領域③食形態④マナー領域で,施設教職員の視点にたったわかりやすリスト項目とする. このチェックリストを協力依頼機関で実施し,その結果を基に,訪問して専門家による評価を実施する. その後,チェックリストの結果と専門家による評価を比較する.
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