2017 Fiscal Year Research-status Report
障がいをもつ乳幼児の食べ方と発達を理解した指導・評価プログラム開発
Project/Area Number |
16K04850
|
Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
中嶋 理香 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 教授 (50461116)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 食べる機能の発達 / 障害児通所支援施設 / 質問紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度・平成29年度の成果として,幼児・児童の食べる機能の発達に関する問題は,定型発達児・障害児に共通性があること,それらは,摂食嚥下機能,姿勢,偏食であること,次に,教育機関の問題として,研修等の実績が少ないこと,教員・保育士の判断で子どもの食環境が決められ,それに対するガイドライン等がないことがあげられる. H29度は,試案作成を行い,その試案を運用した.試案は,障害児通所支援と保育所等訪問支援を実施している施設(以下施設)での給食場面で,保育士が児に対して抱く課題意識を把握できるように構成した.試案は,保育士に対して質問紙によるスクリーニングとした.内容は,昨年度の実績から障がいをもつ幼児・生徒の問題として,食形態,姿勢制御能力,食具の使用能力,偏食,マナー,食べ方があげられたことを基に作成した.課題意識の度合いを5段に設定し,択一選択する方法をとった.質問紙の実施方法及びその結果:対象は,名古屋市・三河地区以外の施設のうち,調査協力を得られた6園を対象であった.在籍する園児すべてに対して質問紙を実施し,141児分を回収した.有効回答は132通で,これを基に,4つの基準で23名に絞った.23名のうち協力をその後断ってきた2施設(3名),保護者からの同意撤回 2名,対象児死亡・転居等で訪問できなかった2名を除く計 16名を理学療法士・言語聴覚士が直接訪問した.給食場面を録画した資料を基に保育士が実施した質問紙と同じ質問紙に対して理学療法士・言語聴覚士が回答した.加えて保育士の児への関わり,食事支援環境(食具・姿勢・コミュニケーション・食形態)について別個に評価した.質問紙調査の結果を施設ごとに分析した結果,在籍児の種がい種別に施設間の差はなかった.年齢は,平均51.8か月であった.姿勢・マナー・偏食の3項目に施設間の評価差はなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
障害児通所支援と保育所等訪問支援を実施している施設(以下施設)からの回答・養育者からの承諾確認,対象児の健康状態や園の行事等の事情が重なり,訪問日程調整が難航し,予定期間を1か月としたが,実際は3か月を要した.さらに,最終的に園に訪問できたのは2018年2月であったために,資料整理分析にまで至らなかった.収集した画像資料数が予測数を下回っている.映像資料の分析では,機材の煩雑な使用法を獲得に時間を要した.
|
Strategy for Future Research Activity |
①H30年は,H29年度に収集資料を詳細に検討すること,その結果を7月までにまとめる.②食べる支援を必要とする児のスクリーニング用質問紙を作成する.このためにH29年度に療育施設の保育士から得られた回答とセラピストの回答を比較し,7月までに療育施設等で働く保育士が記入しやすく修正をする.③スクリーニング用質問紙の運用に向けて,教育行政機関と調整を開始する.④スクリーニング用質問紙の運用(9~10月)する.⑤早食い,丸呑み,咀嚼不足等があげられた結果を受けて,口唇閉鎖の弱さが考えられる.幼児期の口唇閉鎖力について,測定法を含め,文献を整理し,定型発達児における「開口咀嚼」について調査する.開口咀嚼が,食べる機能の発達,特に口腔機能の未熟さを示す指標となるかを検討する.
|
Causes of Carryover |
動作分析ソフトを安価な機種に変更したために生じた.当初三次元動作解析が必要と考えたが,二次元動作解析が使用する画像データでは適当と判断した.今年度は,開口咀嚼の画像データ収集を行う.これに必要な環境を設定するための物品を購入する.また,実験協力者への協力要請・資料の分析に費用を当てる予定である.
|