2016 Fiscal Year Research-status Report
エビデンスに基づく行動支援を促進するアプリケーションとSV研修プログラムの開発
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16K04855
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
大久保 賢一 畿央大学, 教育学部, 准教授 (40510269)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉症 / 発達障害 / 知的障害 / 行動支援 / 職員研修 / アプリケーション / スーパーバイザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は3部構成である(4年計画)。第1部(平成28年度~29年度)においては、行動支援に携わる支援者が持つ問題に対する帰属スタイルと行動支援に関する基礎知識を評価するツールを開発する。第2部(平成28年度~30年度)においては、支援者が行う行動支援計画の立案をサポートする介入手続きのデータベースとそのデータベースを関連づけたアプリケーションを開発する。第3部(平成29年度~31年度)においては、教育現場において、行動支援計画の立案や実行を主導し、他の支援者に対してサポートとフィードバックを提供するスーパーバイザー(SV)を養成するための研修プログラムを開発し、効果を検証する。 平成28年度は、第1部における評価尺度の開発と、第2部におけるデータベース作成に着手した。評価尺度については、Hastings(1997)のChallenging Behavior Attributions Scale (CHABA)を日本語訳し、日本語版の評価尺度を作成した。また、Oliver et al.(1996)のSelf-Injury Behavioral Understanding Questionnaire (SIBUQ)も同様に日本語版の開発を進めた。データベースの作成については、発達障害児者、知的障害児者の行動支援に関わる行動支援をテーマとした論文が掲載されているジャーナルをピックアップし、系統的レビューの準備を始めた。 さらに、第2部と第3部の内容を検討するにあたり、日本の学校教育において、特別支援学級を対象とした問題行動とその支援に関する実態調査がないことが明らかとなったため、全国実態調査を行い、基礎的な資料を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベースの作成が予定より少々遅れているものの、その他の計画については予定通り順調に進んでいる。また、データベースの作成についても協力者からの協力が得られる見通しが立ち、計画が遂行できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
2000年以降の国内外の主要ジャーナルをレビューし、客観的な効果指標が示されている研究論文をピックアップし、データベースを作成する。問題行動の型と機能ごとに各研究において実施された具体的な支援手続きを整理する予定である。連携研究者である大対香奈子氏、田中善大氏、野田航氏、そして研究協力者である月村彈氏の協力を得ながら作業を進める。平成29年度が終わる時点で300程度の研究をデータベース化してアプリケーションの開発に着手する。 さらに支援者が対象者の問題行動の型と機能を入力すれば、自動的に推奨される支援手続きが表示され、それを選択すれば設定しておいた書式で支援計画が出力されるようデザインする計画である。また、典型的ないくつかの支援手続きについては、ユーザーが必要に応じて閲覧・参照できる解説用の動画ファイルを組み込む。なお、アプリケーションはWindows、Mac OSで使用できるよう作成し、さらにスマートフォンやタブレットでも使用できるようAndroidやiOSにも対応させる予定である。
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Causes of Carryover |
データベース作成に必要な人件費とアプリケーション開発に必要な経費が計画遂行の遅れにより執行されなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度においては、データベース作成に必要な人件費とアプリケーション開発に必要な経費として執行する計画である。
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